【長万部】町は、2030年度に予定される北海道新幹線の札幌延伸を見据え、JR長万部駅の周辺整備などを盛り込んだ「新幹線を核としたまちづくり実行計画」を策定した。室蘭、登別方面への乗り換え需要を見込み、開業後の乗降客数を現在の11倍に当たる1日4400人と想定。駅の東西を自由通路で結び、駅前広場にロータリーや特産品を扱う「まちの駅」を整備する計画で、総事業費約47億円と試算した。
町は計画策定に当たり、開業後の利用動向、駅に対する機能面での要望などを探るため、町内や周辺自治体、観光客を対象に意向調査を実施。これに基づき、商工業者、商店主、公募の町民ら23人からなる策定協議会が昨年12月から4度の会合を重ねてまとめた。
乗降客数はアンケート結果や人口動態などから推計。新幹線長万部駅の利用範囲を登別、室蘭両市を含む西胆振、南後志など人口16万5千人圏内と想定し、洞爺湖、登別温泉などへの往来のため乗り換える通過客を合わせて1日約4400人と見込んだ。
新駅舎は現駅舎を撤去して新設されるものとし、新幹線ホームは両側に線路がある「島式」の2面4線で、在来線の西側の3階レベルに配置する想定とした。地上の在来線との間で円滑に乗り換えできるよう、改札は2階に設定した。
中心商店街に面した東口と長万部温泉街に近い西口を幅8メートルの自由通路で結び、車いすや自転車でも行き来できるようにする。東西2カ所の駅前広場にはロータリーを設け、タクシー、バスの乗降場、自家用車の送迎スペースを配置する。
駅東口には北渡島・檜山、西胆振、南後志などの観光情報を発信し、物産を販売する「まちの駅」を開設。中心商店街がある本町通を道道に昇格させて拡幅し、駅前広場を中心にまちのにぎわいを再生する事業を展開する計画。
総事業費約47億円のうち町負担は30億9500万円と算定。町は今後、計画に基づいて道や鉄道・運輸機構、JR北海道など関係機関と協議を進める。(斉藤高広)