ちょっと前に知ったきのこ帝国。
最近アニメの始まった「僕のヒーローアカデミア」の堀越先生が執筆時に「桜が咲く前に」を聞いていらしたと目にして、聞いてみたらハマった。
その、きのこ帝国の「eureka」というアルバムの中に、「夜鷹」はあった。
タイトル通り宮沢賢治の「よだかの星」を思わせる内容の曲になっている。
後から知ったが、作詞作曲の佐藤さんは宮沢賢治のお膝元・岩手の出身らしい。宮沢賢治は身近な存在だったのだろう。
虫を呑み込んで「生きる」=『細胞分裂をやめられない』、よだかの苦しみ。
「よだかの星」を読んだときの、虫を呑み込んだ「よだか」のようなぞっとした気持ちを、「夜鷹」を聞いて思い出した。
歌詞の中で繰り返される『ティコの星』は「よだかの星」のモデルではないかといわれているらしい。
歌の中には宮沢賢治を思わせるワードとして『星巡りの唄』がある。
これが出てくる宮沢賢治作品は「銀河鉄道の夜」と「双子の星」だ。
「銀河鉄道の夜」にも「よだか」に似た存在がいる。
銀河鉄道の中で出会う少女の話してくれる「蝎」。
他の生き物を食べて生きてきた「蝎」はいざ自分が死のうと言う時に、それにあらがい、それを後悔する。そして「よだか」と同じく星となることを願い、成就する。
他に気になるのが『手紙のとどいた朝の日のこと』というフレーズだ。
くり返しの多い詞の中で、ぽかりと浮いている。
『星巡りの唄』が出てくる「双子の星」、その続編というべき作品に、「手紙 四」というものがある。
「双子の星」は仲のいい双子が星の世界で冒険するお話。ほのぼのとした話。
それに対して「手紙 四」ではがらりと変わり、双子の妹が死んでしまっている。
宮沢賢治の作風に大きな影響を与えた、早世した妹とのことを描いているようであった。
「夜鷹」の『手紙』はこの「手紙 四」のことなのだと思う。
生と死を描いた宮沢賢治のたくさんの物語。
その系譜を継いだかのような「夜鷹」。
音楽と読書の楽しい融合体験となった。
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