【5月3日 時事通信社】台湾の在来線を運営する台湾鉄路管理局(台鉄)と日本の鉄道各社が相次いで協力関係を結んでいる。少子高齢化が進む中、海外観光客を呼び込んで活路を見いだそうとする双方の思惑が一致。観光地をPRしたり、無料乗車券を提供したり、日台で手を携えて集客アップに取り組んでいる。

 神奈川県の藤沢-鎌倉間の江ノ島電鉄は台湾北部を走るローカル線の平渓線と協定を締結。平渓線の使用済み周遊券を窓口で提示すれば、1日乗車券を無料で提供するサービスを3月末まで実施した。「鎌倉高校前駅」近くの踏切が台湾でも人気のアニメ「スラムダンク」に登場するとして脚光を浴びたこともあり、台湾人のサービス利用者は約3年で1万5000人を超えた。

 台鉄と西武、京急、JR東日本の4社は2015年8月から日台横断のスタンプラリーを実施中。双方で計5駅のスタンプを集めれば記念品を贈呈する内容で、各社が観光客増に向けてスクラムを組んだ形だ。

 一方、グループ全体で台湾との交流に力を入れる社もあり、「プロ野球埼玉西武ライオンズの『台湾デー』開催」(西武)、「台湾の駅弁をモデルにした弁当販売」(東武)などアイデアを凝らしている。

 15年度に訪日した台湾人は約390万人。住民の6人に1人の割合となる。同じローカル線の内湾線と姉妹協定を結んだ岐阜県の長良川鉄道の坂本桂二専務は「少子化で通学客が非常に減っている。国内だけでお客さんを呼び込むのには限界がある」と述べ、日本旅行ブームに沸く台湾に熱い視線を送る。

 07年の台湾新幹線開業後、乗客数が伸び悩む台鉄も日本人の利用増に大きな期待をかける。ただ、訪日台湾人に比べると、台湾を訪問する日本人は大幅には増えていない。台鉄の担当者は「引き続き日本の鉄道との提携を進めていく」と交流拡大に意欲を見せている。(c)時事通信社