なんとたったの980円で焼肉食べ放題のお店が、
新宿の歌舞伎町にあるという話をききつけ、
行って食べてみました。
美味かったーーーーー!
結論、美味かったんです。本当に1000円でお釣りが来た。
45分だからといっておかわりを待たされることなくどんどん出てきます。
でも、いかんせん、場所が、歌舞伎町、だったんですよね。
なんでかは知りません。なんでかは知りませんがお店まで辿り着く道中、カッコいいスーツのお兄さんやオジサマや若い衆の方が、道の角々に立っていらっしゃる。
角というのは、要は風鈴会館前の交差点のことです。今回お伺いした焼肉屋さんは風鈴会館から道を挟んだ東側のビルの裏手にあります。
ここです。
私が行ったときは割とお店が込んでいました。さすがは980円のお肉の食べ放題。食したいのは私だけではありません。お店の脇に順番待ちで並ばなくてはなりません。
しかしこの場所はなんといっても天下の歌舞伎町。ただただ待っているだけで様々なイベントが巻き起こります。ステキです。センパイさすがです。
私は、ただ焼肉を食べたくて、お店の脇で、列に並んでジッとしていただけなのですが、結果的に目に入ってきたものを、出来事を、時系列に列挙していこうと思います。
①ねずみーランド
ガサガサッッ! ガサササッ!
チュー! チュー! チュー!
外に並ぶと通行の妨げになるので私たちお客はお店横の通路に並びます。その通路にちょうどゴミ置き場があるのですね。そこに、常時、おっそろしく大きなネズミさんがいるのですね。そう。それはネズミの王国です。ランドです。ランド。
どこかからか水が漏れているのか、ピタッ、ポタッ、と常に水音がし、そして時折、ガサガサッッ! とゴミ袋がすれる音がして、チューチュー! 主の声が木霊します。
この「ガサガサッ!」と「チューチュー♬」 は、重層低音のように待ってる間は常に聞こえます。
②中国やフィリピンのお姉さまご出勤
コツッ! コツッ! コツッ!
ハイヒールの音をたて、ドレス来たお姉さんたちが、安い肉に群がる我々を見下すように、むせかえるような香水を漂わせながら通り過ぎます。
フィリピンっぽい方、ドレスがチャイナっぽい方が目につきました。この行列には見慣れているのか、一瞥もしてはくれません。
なんか辛い。
彼女たちの目には、980円食べ放題に群がる私たちの姿はどのように映ったのでしょうか。
なんか辛い。
彼女たちとお話しするお金で、ココの焼肉、何時間食べていられるんでしょうか。
なんか辛い。
③オカマのお姉さん(?)
ふくらはぎがムッキムキのお姉さん風の元お兄さんがハイヒール履いて前を通ります。IKKOさんにしか見えません。デカイ。肩幅半端ない。ハイヒールはいちゃうからデカイ上に足に力が入って筋肉の盛り上がり半端ない。短距離早そう。
二丁目とは少し離れていますが、この地区にもオカマバー的なところはあるのでしょうか。ただ、イイ匂いはしてきます。
なんか辛い。
④フルーツのおばさん
タイ人ぽいおばさんが横を通ります。手にはラッピングされたメロンやスイカやブドウの入った、大きいタッパーを持っています。きっと上の階のホストクラブへの出前だと思われます。なるほど、ホストクラブの食べ物は、近時のフルーツショップからの出前なんですね。
あ、おばさんが返ってきた。タッパーの中カラになっています。もちろん、私たちにはめもくれません。
なんか辛い。
⑤ホストのお兄さんのご出勤
あの髪はどうやってセッティングしてるのだろうか。
とうぜん、我々はガン無視されます。石ころのような心持です。辛い。
⑥ビールを買いに走る若手ホスト
バタバタバタバタバタ!
凄い勢いで走る! 俊敏なホスト!
ホストの方もあんな全力で走ることあるんですね。
あ、戻ってきました。
あ、手にビール持ってる。
そうか、先輩に言われてお酒買いにパシらされてたのか。
お疲れ様です!
⑦寝る始める高橋源一郎風の白髪のオヤジ
オッサンが寝始めました。
私の前に並んでいた白髪のオッサン(高橋源一郎似)が、地面に座り込んで三角座りで寝ています。前の列が進んでもゆすらないと起きない。
私「あの、まえ、進んでますよ」
源一郎風の人「お、おぉ」
五分後。
私「あの、まえ、進んでますよ」
源一郎風の人「お、おぉ」
以下略。
なんか、辛い。
⑦フルーツのおばさん(2回目)
先ほどの東南アジア風おばちゃんが、今度はオレンジやモモとメロンの入ったタッパーを持って現れる。ホストクラブは今日も大繁盛のようでした。
⑧学生の飲み会
「いやほーーーい!」
早稲田らしき学生の団体がウルサイ。
何故早稲田の学生はすぐに校歌を歌いたがるのか。
辛い、ってか、うざい。
⑨ヤ〇ザのオジサマ
「なんやぁ、この行列は? おぉ?」
「ここの焼肉屋、安いんですよ」
一緒にいた、年下の方のヤ〇ザ風のお兄さんが答えます。チラッと目が合ったような気がしましたが、怖いのでそーーっと焦点を奥に合わせ、遠くを見ているようなふりをしました。
「おぉ、そうか。それでこんなに並んどるんか。ははっ」
兄貴分のお兄さんは鼻で笑っていらっしゃいました。彼らにしていれば、1000円やそこらのお金で列に並ぶなんて、ありえないことなのでしょう。
辛い以前に、怖い。ツラコワい。
⑩中田翔っぽいお兄さんがタクシーを蹴る
「おぉぉぉい! どぉこ見てんだ? どこ見てんだっつってんだわ。聞こえねえのか? ここに、ミラーついてんだよな? ミ・ラ・ア、ついてんだろ? ミ・ラ・アがよぉ!」
「ぷーーー」と車の警笛の音がしたんですね。
タクシーが、路肩に止まっていた車が突然走り出したのでちょっとぶつかりそうになったので、警笛を鳴らしたんですね。すると、中から、日ハムの中田翔っぽい感じのお兄さんが車から降りてきて、タクシーの前に立ちはだかって、その、車の前のところを、
まず一回蹴ります。
ーーガンッ!
「ミラーあんだろ? ミ・ラ・ア! ミ・ラ・ア!」
この、「み」「ら」「あ」の言葉に合わせ、
「バン!」「バン!」「バン!」
と手の平で車を力強く叩くんですよね。
もう、目の当たりにして、列になっている我々としては遠くを見ているしかないのです。お安い焼肉食べたさに並ぶ同士全員が、右に左に目線を散らします。
そしてブレない高橋源一郎。寝ています。起きません。さすがです。
⑪ついに焼肉を食べる
いや、美味しかったんです。おそらく。きっと美味しかったとは思うんです。
ただ、いろんなことが起こりすぎて、もう、全然味覚えてないんですよね。。。
おかわりは頼めばすぐにやってきました。
私はレバーが一番好きでした。
わたしは一人焼肉ですが、カウンターがあるので一人でも大丈夫。
そして隣の席を見ると、先ほどまで寝ていた高橋源一郎が食べるわ食べるわ。
まだ20代の私より全然食べる。
すごいですねー。多分あの人、長生きします。
すると今度は、高橋さんとは逆隣の二人の会話が気になり始めました。
⑫嫌々のキャバ嬢とおじさま
おそらく、キャバクラのアフターだとは思うのです。
蛭子さんをもう少し若くしてもう少し太らせて、もう少し毛量を多くした感じのおじさま。そしてイカニモなキャバ嬢。髪はモリモリで、タバコをぷかぷか吸っています。その会話が、ひどい。
蛭子さん「肉食べる?」
キャバ「いらなーい。タバコ吸っていいー?」
私(なにしに焼肉屋きたんだよこの子)
蛭「タバコ吸っていいよ」
キ「ふー」
蛭「・・・」
キ「・・・」
蛭「美味しいよ。食べないの?」
キ「食べるー」
蛭「はい。焼けたよ」
キ「ありがとー。あ、美味しーかも」
蛭「でしょでしょ」
キ「うん。でも私ダイエット中だからあんまり食べれないや」
蛭「そっかそっか」
キ「・・・」
蛭「・・・」
その後しばらく無言で黙々と焼肉を焼いては食べる蛭子さん風の人。そしてタバコを吸ってスマホをいじり続けるキャバ嬢。
そもそも、キャバ嬢連れ出すんなら、もうちょっと叙々苑的なところに連れて行った方がいいんじゃないかと思う。余計なお世話でしょうど。その子は明らかに店内で浮いていて、激安店に連れてこられるキャバ嬢にしてみたら、安く見られたようで腹立たしいのかもしれないと思う。
キャバ嬢が、新しいタバコに火をつけた。
肉を食べない人が焼肉屋さんにいる。
それが歌舞伎町。
蛭「スープ飲む?」
キ「私もうお腹いっぱーい。だいじょうぶー」
蛭「そっかー」
キ「うん。だいじょうぶー」
私(なんか、怖っ・・・)
結論、
「辛い! 怖い! 美味い! 怖い!」
そんな新宿歌舞伎町の45分980円焼肉食べ放題体験記でした。
でも面白かったから、また行きます!
(お肉のお味とか、お店の紹介とかをちゃんと知りたい方は「東京・新宿食肉センター」でググってください。改めて読み返してみて、私のレポは、お店と関係ないところに引っ張られすぎていてどうやら参考になりません。かしこ。)