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【大相撲】

琴勇輝とにかく声出したいっす はなわの相撲ヲタク対談

2016年5月3日 紙面から

琴勇輝(左)の立ち合い時のルーティン「ホウッ」をまねする、はなわ=千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で(斉藤直己撮影)

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 夏場所で最も注目される若手力士は、東関脇の琴勇輝(25)=佐渡ケ嶽=でしょう。春場所はあれよあれよの間に12勝。弟思いで、殊勲賞の賞金をそっくり手渡したシーンは兄弟愛を感じさせました。そしてなにより、仕切りの際に叫ぶ「ホウッ!」。これまで賛否を呼んでいましたが、先場所後、ついに審判部から注意を受けました。果たして今場所、この「ホウッ!」をどうするのか。そのあたりの心境を聞いてみました。 (構成・岸本隆)

 はなわ「先場所の活躍は素晴らしかった」

 琴勇輝「初場所で大関(同部屋の琴奨菊)が優勝されて、パレードの旗手もさせていただいて、頑張ればこういう景色が待っているんだと一番近くで感じました。番付も自己最高位で迎え、対戦相手も雲の上の人ばかり。負けてもともと、勝ち負け関係なくいってやろうと肩の力がふわっと抜けて、逆にリラックスしていい相撲が取れた。ガチガチになって、自分がやってきたことを出せずに終わるのはもったいないんで」

 はなわ「3日目に日馬富士関に勝ったとき、涙しているのが感動的でした」

 琴勇輝「日馬富士関には巡業などで稽古をつけてもらいましたし。ただ金星を取ったんじゃなくて、大きなけがを乗り越えて得たものだったので。苦しいリハビリとか思い出すとバアーッとあふれてくるものをこらえられなかったっすね」

 はなわ「左膝蓋腱(しつがいけん)断裂とか」

 琴勇輝「靱帯(じんたい)の腱がぷちって切れちゃってた。手術しなきゃ立てないっていう状態でした。MRIとかCTとか生々しい感じを見て、ぐちゃぐちゃだなあって状態でした」

 はなわ「弟さんがお医者さんを目指してたんですか」

 琴勇輝「僕が入院している当時、医大生になったばかりで、埼玉の学校に通ってましたが、休学届け出して、付きっきりで看病してくれた。僕がリハビリで苦しんでもがいている姿を見て、自分には何もできないっていう歯がゆさを感じていたみたいで、『少しでも兄の助けになる方向に進んでいきたい』と言い出した。そこで、学校を替わって、今はリハビリなどを中心にやるような学校に進んでいます」

 はなわ「兄弟愛ですね」

 琴勇輝「家族の愛は大きいと思いますね。うちは母子家庭なんで、おふくろ一人で育ててもらったというのが本当に大きい。弟も『お母ちゃんを楽させてやりたい』という気持ちがきっとあると思います」

 はなわ「小豆島の出身ですよね。大好きなんです。行ったことないですけど(笑)」

 琴勇輝「とってもいい所ですよ。海が見えて、潮風が吹いて。この前、祝賀会を地元でやっていただいたのですが、900人近く集まってくれた。島以外からもいらっしゃいました」

 はなわ「琴勇輝関といえば気合。『ホウッ』ですよね。だめなんすか、春場所後に審判部に何か言われたとか」

 琴勇輝「…」

 はなわ「あれびっくりした、ニュース見て。一番盛り上がるし、みんな期待してるのに。できなくなるんですか」

 琴勇輝「うーん、考えます…。でも、僕が言わなくても、最近はお客さんが先に言ってるじゃないですか。入りのときから『ホウッ』って言われるもん(笑)」

 はなわ「あれがなくなっちゃうと残念。ずっとルーティンとしてあるわけですよね」

 琴勇輝「はい、中学でもやってました。最初は体とかバンバンたたいて『ヨッシャー』とか言ってたのがだんだん変わってきた。とにかく声出したいっす。気合入れてからいきたいんすよ」

 はなわ「白鵬関に『犬じゃないんだから』って言われたって…」

 琴勇輝「言われました。昨年の春場所前の力士会で。マジでしたねえ。空気もピリッてなりましたもん。千代鳳も当時やってて、『おまえら犬じゃねえんだからホウッとか言ってんじゃねえよ』って」

 はなわ「千代鳳関はやめました」

 琴勇輝「で、その春場所初日に千代鳳と対戦組まれたんすよ。いつも千代鳳が先にホウッて言うんすよ。僕が後。だから待ってたんすよ。そしたら言わなかった。そこで千代鳳がやめたことを知りました。すごかったっす、やじが。『やんねえ〜のかよ』って。『やったっていいんだぞ〜』ってなって、自分は言ってドカーンってなったんすけど、ドカーンって土俵下まで飛ばされた」

 はなわ「それで1年たって、先場所、白鵬関と対戦しました。目の前で『ホウッ』って」

 琴勇輝「飲まれちゃいけないですから、その空気に。ここで全部出すために稽古してきているわけですからね」

 はなわ「でも、さすがに協会に言われちゃうとねえ」

 琴勇輝「まあ、そういうことですよねえ(笑)。審判部の親方に言われましたから、考えなきゃいけないっすね」

 はなわ「でも、逆に注目されてきたからというのもあるんですかね」

 琴勇輝「だから、これからまだまだ上があるんだから−というふうに言ってもらっていると解釈して」

 はなわ「琴勇輝関みたいな突き押し相撲っていないと思うんですよね。一発で持っていける。相撲ファンが期待する、日本人力士がモンゴル勢をなぎ倒す第1候補に来ていると思います」

 琴勇輝「僕自身、小学校時代に相撲を始めたときに、最初にあこがれたのが千代大海関だったんすよ。止まらない、マシンガンみたいな突っ張り出して。相手は血だらけになってるし、すっごいなあって。小さいときから家族が格闘技好きで、本当はちょっとK−1にも興味あった」

 はなわ「では、今場所の目標を」

 琴勇輝「せっかくいい波に乗れているので、ここで長く足踏みしたくないのが正直なところ。まあ出し切って、やるだけのことをやって、あと一つ上、二つ上って目指していきたいですね」

 はなわ「若いから狙いますよね。僕も小豆島に行きたいです」

 琴勇輝「企画してロケしましょう! 島いいっすよ、ホントに」

 

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