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田母神容疑者ら起訴 線引き困難、横領立件見送り

産経新聞 5月3日(火)7時55分配信

 「政治活動かどうかファジー(あいまい)で、明確に区別することは難しい」

 業務上横領罪で告発された田母神俊雄被告(67)について今回、同罪での立件が見送られた事情を検察幹部はこう説明した。スーツ代やクラブでの飲食費が政治活動の一環か、私的な流用か。線引きは困難というわけだ。

 田母神被告は政治資金から、交際相手の婦人服代も支出していた。産経新聞の取材には「一見私用に見えるものでも、政治資金で落ちる場合があると元会計責任者から言われた」と語った。「政治活動」のパーティーなどに交際相手が同行すれば、それは必ずしも私的流用とは言えなくなる。

 政治資金規正法は「規制」ではなく、政治家自身が襟を正す「規正」の字を当てる。政治資金の使途の判断は政治家に委ねられ、だからこそ、「ザル法」にもなり得る。

 「国民の浄財」の一部は運動員買収に使われた。田母神被告は逮捕前、「事務局長(島本順光被告)が支払わなければいけないと言うから、その通りに支払った」と釈明し、違法性を認識したのは陣営関係者から指摘を受けた昨年2月ごろだったとしていた。

 その感覚は世間の常識とはかけ離れている。新しい保守の流れに期待して寄せられた約1億3千万円のうち、約5千万円が使途不明となり、立件されたのは約545万円だ。私的流用分の刑事処分は今後に持ち越された。

 ただ法的な側面はさておき、「浄財」に対する田母神被告や陣営関係者の認識は甘いと言わざるを得ず、それは寄付者、ひいては国民への裏切りに等しい。(大竹直樹)

最終更新:5月3日(火)9時18分

産経新聞

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