革新的技術はことごとく他国へ、「先見の明」がない韓国

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 シン教授のチームは当時、韓国の複数のエネルギー企業にこの技術の移転を打診したが、提案を受け入れる企業は1社もなかった。業界関係者は「韓国のエネルギー企業の中で直接石油を探査してボーリングする企業はほとんどないため」と説明した。最終的にこの技術は2010年、125万ドル(現在のレートで1億4000万円、以下同じ)の技術使用料と引き換えにトタル社に移転された。現在トタル社はこの技術を活用して中東や北海などで油田の探査を進めている。

■韓国が拒否し、グーグルに売却された「アンドロイド」

 海外から「棚ぼた」の形で入ってきた新技術を突っぱねてしまったケースもある。外信によると、スマートフォン用オペレーティングシステム(OS)「アンドロイド」を開発したアンディ・ルービン氏は04年、アンドロイドOSを売却するためにサムスン電子と接触した。ルービン氏は韓国を訪れ「全世界のスマートフォンメーカーに無料でOSを提供し、エコシステムを構築したい」と事業戦略を紹介し、提携と投資を要請した。しかしサムスン電子の役員らはルービン氏の提案を拒否した。「わが社のエンジニア数千人でもできないことを、社員わずか6人のあなたの会社ができるというのは信じがたい」という理由だった。

 韓国にアンドロイドOSを提案して断られたアンドロイド社はその2週間後、グーグルに5000万ドル(約56億円)で買収された。アンドロイドも、サムスン電子が手掛けていればグローバル化に成功していなかった可能性もある。ソニーも自社製品のグローバル化を試みたものの、何度となく失敗していた。韓国のスマートフォンメーカーのある幹部は「小さなネジすら必要のないグーグルのアンドロイド事業は現在、利益率が70%を超える。あのとき韓国がアンドロイドを買収していれば成功していたかといわれれば、それは保障できないが、少なくとも現在のようにグーグルに完全に従属するという状況は避けられただろう」と述べた。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者 , カン・ドンチョル記者
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