「ダメよ~ダメダメ」 NOと言い始めた日本

 現場取材とインタビューを通じた著者のメッセージは簡潔だ。過去にとらわれず、現在と未来という観点から日本を理解しよう、というわけだ。日本に負けないためには、日本よりもっと熱心に突き進まなければならないというのだ。日本の20代、30代に注目する理由も、そこにある。

 日本の若者たちは、不毛な世の中とは一線を画したまま、個々人の持つ世界観によって問題を解決していく。韓国の社会問題で流行語にもなっている「泥スプーン(不平等の最下層という意味)」、「甲乙関係(社会的な強者と弱者の関係)」のような、世の中を恨むような現象はあまり見られない。しかし「無知で自分に自信のない弱いキャラクター」という先入観はとんでもない勘違いだ。日本の若者は安倍首相や米日同盟などのメジャーな話題よりも、サブカルチャーに関心を持っている。中途半端に足を踏み入れてはとてもかなわない。関心は常に自分自身。自分の考えを世の中で具現するには、どのような生き方が最も望ましいのか、自分に最も正直な人生はどのようなものなのか。「ありのまま」「自分探し」がキーワードだ。

 大多数の韓国人の日本に対する先入観は、日本のいわゆる学生運動世代「団塊の世代」の次元にとどまっていると思われるが、その先入観も一気に崩れ落ちる。著者は、2013年に日本中を熱狂させたTBSのドラマ『半沢直樹』のせりふを引用する。「バブル時代、見境のないイケイケドンドンの経営戦略で銀行を迷走させたやつら――いわゆる"団塊の世代"のやつらにそもそも原因がある。学生時代は、全共闘だ革命だとほざきながら、結局資本主義に屈して会社に入った途端、考えることはやめちまった腰抜けどもよ」

 1970年代生まれの銀行員・半沢は、自分を含む後輩世代に経済的苦痛を押し付けた60代の団塊世代と50代のバブル世代に対し、怒りを抱いているのだ。これは、絶対服従が美徳とされていた戦後の日本人の考え方が、若い世代の間で大きく変わってきていることを意味する。

魚秀雄(オ・スウン)記者
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