「ダメよ~ダメダメ」 NOと言い始めた日本

「ダメよ~ダメダメ」 NOと言い始めた日本

【新刊】ユ・ミンホ著『日本直説』(チョンハン書房)

 ナショナリズムは恐ろしい結集力を持つためたびたび危険なものとなる。反日感情もそのうちの一つだ。もちろん原因を提供したという点で、第一の責任はあちらの島国にあるといえるが、韓国の政治家たちは、自分の過ちや内部の矛盾までも反日感情と結び付けて状況を打開しようという誘惑に駆られる。反日こそが、憤怒する韓国人の心を一つにし、気持ちをなだめる万能薬となるケースが多いからだ。

 『日本直説』は、従軍慰安婦や安倍晋三首相の名前を聞くだけで怒りが込み上げてくる韓国人にとって、あまりスッキリしない内容かもしれない。しかし著者は、真の「克日」と「知日」によって怒りをしばし落ち着かせ、「世界は韓国を中心に回っている」という天動説的視点ではなく、地動説的視点で世界を見詰めることを提案する。著者のユ・ミンホ氏(54)は韓国SBS放送で記者を務めた後、日本のエリート養成所・松下政経塾の5年課程を修了し、現在はワシントンのコンサルティング企業に勤めている。週刊朝鮮、月刊朝鮮などに頻繁に寄稿するジャーナリストでもある。学問的な深さよりも、面と向かってのインタビューや現場の状況などがぎっしり詰まった「現代日本の解釈」という点がこの本のポイントだ。

 例えばこうだ。著者は東京・渋谷にある3階建てのシェアハウス「渋家(シブハウス)」を訪れる。1階が就寝スペース、2階は学習・インターネット・パーティースペース、3階は倉庫になっており、全くの他人だった若者約30人が建物を共有し、家賃として1人当たり月1万円(原文ママ)を出し合って生活するという21世紀の日本の新たな居住形態だ。

 2016年の日本を代表する大衆文化の現場には、人気ガールズグループ「AKB48」がいる。05年に結成されて以来、グループ内での競争やメンバーの入れ替えなどによって進化し続け、10年以上も不動の人気を誇っている。韓国のアイドル育成番組『プロデュース101』の元祖ともいえる日本のアイドルだ。著者は、毎年開催されるAKBの「選抜総選挙」の会場を訪れる。姉妹グループも含めて300人に上るメンバーは、ファン投票の結果で順位が上下動し、上位に入った「勝者」だけが生き残る。日本では例外的な弱肉強食の現場だ。

魚秀雄(オ・スウン)記者
前のページ 1 | 2 | 3 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 「ダメよ~ダメダメ」 NOと言い始めた日本

right

関連ニュース