HULUで視聴可能な英国のドラマ“UTOPIA”
かなり独特の世界観。
この作品、かなり画面の作り方が面白い。
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伝説のカルトコミックに魅入られた数人のファン。
あるとき、チャットをしていると「その続きを手に入れた」と一人が言い始める。
オフでで会うことになった日、言い出した本人が自殺。
コミックの続編を求める殺し屋が彼らに近づく。
謎の組織から逃げる主人公ら、そして世界にばらまかれるウイルス。
逃避行の中、彼らの前にコミックス作者の娘と名乗る女性が現れて……と言ったお話。
POWERS OF TEN
まず画面の作り方。
いわゆるコーエン兄弟やウェス・アンダースンのようなのような真正面のカットが多い。
消失点が画面中央に位置する1点透視図法のカット。
正面から描くといわゆる箱庭感、というかオモチャのような「作り物」感覚が生まれる。
これはイームズ夫妻の「Powers Of Ten」を連想させる。
COLOR
そしてコントラストを強めにすることでその「作り物」感覚がより強調される。
コミックを巡る物語だからこそ、というところもあるだろうが、この作り物感のある世界の中で、かなりエグ目のストーリーや暴力描写が展開されるのも暗喩的に思える。
頭が割られ撃たれ血が飛び散り殴られ切られる。
爪を剥がしたり、眼球に塩や洗剤を摺りこむような拷問シーンをじっくり描くドラマもなかなかない。
コントラストが強い色の使い方はとても独特。
たとえば1話目のオープニング映像↓。
前述したようにコントラストを強めた黄色と緑が印象的に使われている。
揺れる稲穂、店員のTシャツ、かばんも黄色、コミックショップの本棚も黄色。
この作品で黄色はキーカラーになっていて、あらゆる部分で執拗なくらい使われている。
そしてコントラストが強く、作り物のようなカット割りをすることで作品世界の虚構感が増している。
コミックをテーマにしたコミックのような世界。
しかしそこで描かれる描写は執拗に残酷。
秘密を守るためなら無関係な家族や通行人すら皆殺しにする。
REMAKE
特に有名な役者が出ているわけでもないが、シナリオの意外性と画面作りの面白さに引き込まれる。
ドラマは、シーズン2で終了。
シーズン1でコミックを巡る展開は一度終了。
誰も顔を知らない組織の長ミスターラビットの謎と予言のコミックが示すディストピア。
シーズン2では、そんなコミック誕生の裏側が描かれる。
サッチャーの首相就任、スリーマイル島原発事故など実際の英国の歴史が織り込まれる展開はかなり面白い。
アメリカではデヴィッド・フィンチャーによってリメイクされる話があったのだけれど、キャンセルされてしまったとのこと。
www.cinematoday.jp
残念だなぁ……。
Huluで見ておくほうがいいドラマの一本。
さくっと観れるミニシリーズなのでGWに是非。
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