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敦賀以西3案調査発注 与党検討委 年内にもルート決定

早期の全線開業には財源確保が必要と指摘する西田昌司委員長(左)=27日、東京・衆院第2議員会館で

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「小浜−京都」「米原」「舞鶴」

 北陸新幹線の未着工区間(敦賀−大阪)で、与党検討委員会は二十七日、調査対象を小浜−京都、米原、舞鶴の三ルートに決め、国土交通省に発注した。いずれも京都駅を経由し、新大阪が終着駅になる。所要時間や事業費など今秋にまとまる調査結果を踏まえ、年内のルート決定を目指す。 (山本洋児)

 東京・衆院第二議員会館で第十五回会合があり、中間取りまとめとして了承した。国交省には、地域活性化への貢献や他の新幹線との接続など、費用対効果の計算に算入されない要素の報告も求めた。詳細な経由地や工法は、国交省などがJR西日本と調整する。

 小浜−京都ルートは、JR西が提案した。小浜市からほぼ真っすぐ京都駅に南下し、速達性と観光面の利便性を兼ね備える。福井県や県議会、沿線の経済界などが支持している。

 米原ルートは、琵琶湖東側から東海道新幹線の米原駅に乗り入れる。滋賀県や石川県議会が推している。建設費が抑えられ、開業時期が早まるとの見方があるものの、運行主体のJR西は過密ダイヤなどを理由に「乗り入れは困難」との姿勢を崩していない。

 舞鶴ルートは、京都府が要望。小浜市から西進して舞鶴を通り京都駅に向かう。距離が長い上、建設費の増大が見込まれるが、府内の南北格差を埋めるには有効との意見がある。

 一方、小浜−京都、舞鶴両ルートの京都−大阪間は、沿線開発効果などを見極めるため東海道新幹線の北回りと南回りの二案を比較する。関係者によると、大阪府箕面(みのお)市周辺を経由する北回りは山間部を通るため建設費が抑えられる。南回りは地下を通り建設費が膨らむが、京都、大阪、奈良にまたがる関西文化学術研究都市を経由するため開発効果が高まるという。

 委員長の西田昌司参院議員(京都選挙区)は「一本化への作業は非常に難しくなる。もう一度、関係自治体やJRから話を聞かないといけない」と述べた。

「10年で完成を」西田委員長

 北陸新幹線の大阪延伸について、与党検討委の西田昌司委員長は二十七日、報道陣に「どのルートに決まっても、十年以内で完成させたい」と述べ、ルート選定と並行して財源確保の議論が重要になるとの考えを示した。

 整備新幹線の国費は近年、年間七百五十億円が予算化されている。西田委員長は、国が公共事業などの財源に充てるため発行する建設国債の使用を念頭に「四倍の三千億円程度にすれば、四十年かかるものが十年でできる」と提案した。

 中間取りまとめでは、外国人観光客の取り込みなどの観点から、関西空港への延伸を「喫緊に調査すべき課題」と指摘し、北陸新幹線とは別の場で検討するよう求めている。

 その上で「魅力的なルートであればあるほど、一日も早くやるべきだという機運が高まる」と西田委員長。予算確保には財政再建などの壁が立ちはだかるものの、財政出動による内需拡大を優先すべきだとの見解を示した。国と地方が二対一という建設費の負担割合見直しも検討課題になる、とした。

 事務局長の滝波宏文参院議員(福井選挙区)は「財源問題は日本経済再生本部とか骨太方針の決定とか、全体の話になる。一新幹線の話でなく、中間取りまとめには入っていない」と補足した。

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  (山本洋児)

 

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