トンネル上の道路拡幅、JR西認めず 災害時活用、滋賀県が計画
JR東海道線のトンネルが通る草津川跡地の整備をめぐり、滋賀県、草津市とJR西日本が対立している。県市はトンネル上の道路を拡幅するため堤体を切り下げる計画だったが、土地を所有するJR西が許可しないためだ。現状では狭い道幅のままとなり、災害緊急道路としての役割が懸念されている。両者は協議を続けているが、見通しは立っていない。
トンネル上の草津川跡地には、県道と市道が重複する道路が通っている。幅約5メートルで中央線はない。県南部土木事務所によると市の跡地整備事業と連動し、片側1車線で幅10メートル前後の道路に拡幅するため、堤体を深さ約1・7メートル削って用地を広げる方針だった。
県市は「変更は現状利用の範囲内」という姿勢でトンネル部分を所有するJR西と協議。しかし市によると、具体的な調整に入った2014年ごろから、JR西が「道路を拡幅するなら、県や市がトンネルを引き取って管理することが条件」と、工事を認めない意向を示したという。協議は平行線をたどり、県市は当面、現状の道幅で整備することになった。
市によると、東西に走る草津川跡地の道路は、災害時などで緊急車両の走行が想定されている。狭い道路ではすれ違い通行ができないため、緊急時に大型車両が通る際は誘導員を置いて交互通行するという。
草津川は当初、国が管理しており、道路部分は県市が国から占用していた。02年の廃川に伴ってトンネル部分が国からJR西に譲渡されたため、県市は道路部分を無償で借りる土地使用貸借契約書をJR西と交わしていた。
市草津川跡地整備課は「難航しているが、今後も滋賀県とともにJR西との交渉を続ける」としている。JR西近畿統括本部の広報は「協議中なので話せる内容はないが、跡地整備に向けて協議を進めたい」という。
【 2016年05月02日 17時10分 】