連休に入り7人死亡 各地で山の遭難相次ぐ

連休に入り7人死亡 各地で山の遭難相次ぐ
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各地で山の遭難が相次いでいて、2日も北アルプスで新たに4人の死亡が確認されるなど、大型連休に入ってこれまでに、合わせて7人が死亡しています。遭難は標高が比較的低い山でも起きています。
富山県の北アルプス・立山連峰では2日午前7時20分ごろ、富士ノ折立の山頂付近で消防の防災ヘリコプターが、男性2人が倒れているのを見つけました。2人はヘリコプターで救助されましたが、すでに死亡していました。
このうち1人は、富山県砺波市の62歳の会社員と確認され、もう1人は40代から60代とみられています。
会社員の男性は先月30日、視界が悪く身動きが取れなくなったと、泊まる予定だった山小屋に連絡してきていて、その際「もう1人登山者がいる」と話していたということです。

長野県と岐阜県にまたがる北アルプスの北穂高岳では1日、男性が山頂付近から滑落したという通報がありました。
警察が2日朝からヘリコプターで捜索した結果、午前5時40分すぎに北穂高岳の山頂からおよそ300メートルほど下の斜面で倒れている男性1人を発見し、搬送された警察署で死亡が確認されました。死亡したのは、奈良県大和郡山市の58歳の無職の男性で、死因は低体温症でした。

また、警察によりますと、奥穂高岳でも男性1人が山頂付近で滑落して救助され、松本市内の病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。死亡したのは横浜市の68歳の無職の男性で、頭を強く打っていたということです。

同じ奥穂高岳では、南西側にある「ジャンダルム」と呼ばれる切り立った岩場の近くで滑落したとみられる1人が倒れているのが見つかりました。現場付近では雪崩が起きていて救助できていないということです。
ジャンダルム付近では、3人組の登山グループの1人が滑落したという通報が先月30日の夜、別の登山者から警察に寄せられています。

北アルプスでは1日も蓮華岳で、スキー場ではない斜面を滑るバックカントリースキーをしていて滑落した、東京・八王子市の55歳の東京都職員の男性の死亡が確認されています。

遭難は標高が比較的低い山でも起きています。
栃木県日光の標高1000メートル余りの霧降高原では1日、東京・豊島区の35歳の会社員の男性がおよそ30メートル滑落して死亡しました。
男性は仲間と合わせて5人でハイキングコースを歩いていましたが、途中でコースを外れたため、沢に沿って歩いていたところ、滑落したということです。

埼玉と東京の境にある標高969メートルの棒ノ折山では1日、千葉県船橋市の77歳の男性が登山道から滑落して死亡しました。
現場の登山道は、幅が50センチから60センチほどと狭くなっていて、後ろを歩いていたグループのメンバーは「男性が立ち止まって眼鏡に手をやったときに足元がふらふらし、そのあと山道から落ちた」と話しているということです。

先月30日には、山梨県富士河口湖町の標高1683メートルの十二ヶ岳で、東京・東大和市に住む65歳の男性がおよそ5メートル下に滑落し、首の骨を折る大けがをしました。警察によりますと、男性は道に迷って登山道を外れ斜面を歩いていたところ、落ちていた木の枝を踏んで足を滑らせたとみられるということです。富士河口湖町によりますと、十二ヶ岳は富士山と富士五湖の1つ西湖などが一望でき、登山者に人気ですが、傾斜が急な場所やロープを使って登るところもあるということです。
また、大月市にある標高1590メートルの滝子山でも1日、都内に住む大学生2人が下山中に道に迷ってしまい、警察がヘリコプターを出して救助する事案が起きています。

山岳救助隊「冬山の装備が必要」

北アルプスの山頂付近で遭難が相次いだ原因について長野県警察本部 山岳遭難救助隊の弦間将樹副隊長は、登山の装備が不十分だったケースもあったと指摘しています。
弦間副隊長は男女5人が救助された奥穂高岳のケースについて「連休は山の天気がよくないという予報が出ていたが、防寒対策が十分でなく道に迷っているうちに体調不良になり救助要請があった」と説明しました。
そして「今回の遭難では装備が十分でなく、しっかりとしたビバークができなかったケースもある。この時期の北アルプスに登る際には、一般的な冬山の装備が必要で気象条件が悪くなったときでもビバークできる準備と、2、3日分の食糧を用意してほしい」と話しています。
さらに連休の後半の登山についても「天気はよくないと予想されている。危険なルートに入らず、無理な行動はしないことが大切で、十分な装備を忘れないでほしい」と話しています。

登山ガイド「低い山では迷いやすい枝道に注意を」

標高が比較的低い山で登山道を外れ、滑落するなどの事故が相次いでいることについて、都内の山岳用品店に勤める登山ガイドの米山良平さんは「低い山は枝道が多く、道に迷いやすい。油断をしないことが大切だ」と話しています。米山さんによりますと、低い山は登山道以外にも、作業車が通る道など整備されていない枝道が高い山より多いということです。
そのため道に迷いやすく、地図やコンパスを必ず持って自分がいる場所と地図を照らし合わせながら歩くなど、油断をしないことが大切だと話しています。また、登山というよりハイキング程度だと油断し、警戒心が緩んで遭難事故につながってしまうこともあると分析しています。
また米山さんは「低い山に登るときもスニーカーではなく、靴底が厚く足首まで覆って滑りにくい登山靴をはいてほしい。足を滑らせたり、捻挫をしたりすることを防ぐことができる」と話していました。