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【イマドキの仕事人】鷹匠の未来形 害鳥駆除ドローンも駆使
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藤田征宏氏とハリスホークのカイ
Photo By スポニチ |
日本には、さまざまな伝統的な仕事が存在する。鷹を使った狩り「放鷹(ほうよう)」に使う鷹の飼育や訓練を担当する「鷹匠(たかじょう)」もその一つ。江戸時代には軍陣の演習や民情視察で放鷹が頻繁に行われ、幕府や諸藩には「鷹匠」の役職があった。時が移った現代、カラスやムクドリなどの鳥の撃退をなりわいにする鷹匠がいた。
千葉市花見川区の畑に舞い降りた数羽のカラスが収穫前のレタスをついばむ。隣接する林からは「カー、カー」という耳障りな鳴き声が響き、周辺の電柱に止まった数羽が道路や車の上にふんをまき散らした。
「どこに(カラスの天敵の)鷹を飛ばせば有効か見極めることが大切」。カラス撃退の依頼を受けた鷹匠の藤田征宏(46)はまず双眼鏡で状況をチェック。そして、連れてきたハリスホークのカイ(9歳、雄)を乗せた左腕を林に向けて振った。
所持している数十羽の中でも、カラスの威嚇にたけたカイは翼を羽ばたかせて畑の上を飛び、林に猛然と飛び込む。その瞬間、数十羽のカラスが一斉に飛び去っていった。「鷹は本来、上空から急降下して獲物を捕るから、上と下から攻めるのが有効。時代に合わせ、新しいことをどんどん取り入れていかないと」と藤田が次に取り出したのは、鷹の剥製を取り付けたドローン。畑や林の上空に“鷹付きドローン”を何度も旋回させると、潜んでいたカラスが林から飛び出してきた。
定期的に鷹などを放って威嚇し、害鳥を追い払うだけではない。ねぐらなどを調査し、巣を撤去したり、ワナを仕掛けて捕獲したりもする。「巣に卵が4個あったら1個を残して処分する。すべて処分すると、また別の場所で産む。数を減らすことも重要」。生きた鷹と剥製の鷹を巧みに操りながら説明した。
出動1回の報酬は基本的に6万円。自治体や農協、個人など依頼主はさまざま。鳥が航空機に衝突するバードストライク対策として空港からのニーズもある。鷹の剥製の仲介も行い、どんな人でも扱えるように調教した鷹を自身が経営するペットショップ「猛禽屋(もうきんや)」で約80万円で販売。実際に購入し、カラスを完全に撃退したゴミ処分場もあるという。
藤田は、千葉県柏市で生まれ、茨城県牛久市で育った。動物好きの父親とともに、ネオンテトラなどの熱帯魚に始まり、オウム、ヘビ、トカゲなどジャンル問わず自宅で飼育。国士舘大ではレスリング部の寮生活(4人部屋)だったが「1年時は使い走りだから我慢したけど、2年で先輩の許可を得て熱帯魚、3年でヘビ、4年でトカゲを飼った」。さらにコーチとして大学に残って1人部屋になると「一度は飼いたかった」というサルも飼い始めた。その後、トカゲを繁殖させて通信販売で得た資金で牛久市に「猛禽屋」をオープンさせた。
同店で鷹を販売、繁殖させるようになり、鷹匠に興味を持つように。06年に知り合いの鷹匠に師事し、技術をマスターした。「見よう見まねで覚えたけど、動物にはなれていたし全く苦労しなかった」。知り合いから頼まれてカラスを撃退したのが口コミで広がり“仕事”として取り組むようになり、ドローンと剥製を使う撃退法は最近、自ら考案したという。
「日本のどこでも鷹が飛んでいるような時代がくれば。人と鷹との共存が夢」と語る藤田は、4人の男の子を育てる父でもある。最近、危惧しているのは「カブトムシやザリガニをスーパーでしか見たことがない子供が多い。鷹に限らず生きものとの触れ合いで、命の大切さを学ぶことができるのに」と話す。
藤田が夢見る“共存”が実現すれば、「こんなにも人の命は軽いものなのか」と感じる事件も減っていくのかもしれない。 =敬称略=
[ 2016年5月2日 05:30 ]
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