政府は東京五輪が開かれる2020年に、訪日外国人旅行者を15年の約2倍となる年間4000万人まで引き上げる計画を進めている。ただ、ホテルをはじめとした宿泊施設の不足は深刻な問題で、個人が所有する住居の空き部屋を有料で宿泊させる民泊の動向に注目が集まる。こうした中、政府は6月にも民泊の新ルールを策定する方向で作業を進めているが、政府の議論の先を行く形で無許可による利用が急拡大しているのが現実。これに伴い、民泊を禁止する管理会社と、こっそりと貸し出す入居者との間で繰り広げられるいたちごっこも顕在化している。
「ニホンゴワカラナイ」。東京・東新宿にあるワンルームマンションの管理人が、キャリーバッグを引く、見かけたことがないブロンドヘアの外国人に声をかけたところ、こう言って素通りしていった。不審に思って後を付けていったところ投資用ワンルームマンション仲介の最大手、日本財託(東京都新宿区)が管理する部屋に入っていった。
その部屋の入居者は日本人の女性のはず。数日分の防犯カメラを見せてもらうと、アジア系や欧州系といった複数の外国人が室内に出入りしていることが確認できた。「民泊に間違いない」。担当者はそう判断し、入居者に問いただしたところ「外国人の友達が多くて日本に来たときに遊びにきているだけ」と認めようとしなかった。
同社によると、こうした事例は今年に入ってから増えているという。しかし契約上、他人に貸す「転貸」は認められていないため、正面突破で尋ねても、首を縦に振る居住者は存在しない。室内を見せてもらおうとしても、「忙しくて時間が合わない」などを理由に確認させてくれない。このため、にわかの“ワンルームGメン”を結成し、地道な裏取り作業を進めていく。
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