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【from社会部】
橋下依存ここまで…「橋下来たる」赤チラシ、選挙ポスターの顔に張り付け
「この2年間で維新の党の実態がしっかりと有権者の目にさらされた」
14日夜。衆院選の開票を迎え、維新が府内の選挙区の大半を落とすことが濃厚となる中、共同代表の橋下徹大阪市長は会見で維新への期待がしぼんでいるという認識を示した。その要因の1つに挙げたのは、2年前の前回衆院選で当選していた候補者の力量不足だった。
「いきなり国会議員になって勘違いしたメンバーがたくさんいた。その選挙区では、メディアの情勢調査で(支持の低さが)数字に表れていた」。さらに党を立て直すため、個々人の能力を高めていくとも宣言した。
その言葉を聞いて、脳裏によみがえった光景があった。府内の候補者用のポスター掲示板で、ある維新候補者のポスターには顔の大半を隠す大きな赤いチラシが張られていた。「橋下来たる」という街頭演説の告知だった。チラシの大きさは異なるものの、別の維新候補者も額の上に重ねられていた。
選挙の“主役”である候補者の顔をつぶす行為ではないだろうか。実際、インターネット上には批判コメントとともに写真が出回り、その候補者の支持者から「ひどい」「いい気分ではない」という声が上がった。
それでも、ある候補者の陣営は「呼び込み優先。ネットで話題になった」。こうした状況に維新の若手地方議員は自戒を込めながら「橋下代表の人気頼みでは維新は終わってしまう。候補者の実力で票を集めるようにしなければいけない」と危機感を募らせる。
衆院選で劣勢が伝えられた中、維新は国会議員の待遇を批判する「告げ口」(橋下氏)を展開。それが功を奏したのか、比例復活を重ねて議席1減という土俵際で踏みとどまった。
だが、このまま橋下氏への依存から脱却できなければ、次の選挙では土がつくかもしれない。橋下氏の宣言通りに個人の能力が向上したかどうかは、必ず国民に知れわたる。
(藤井沙織)