株式会社ビットジャーニー 井原正博氏
今自分で会社をやっているのですが、その前はクックパッドに5年間いました。前半2年ぐらいは、エンジニアの採用と成果を出すための組織作りを担当していました。その後で自分でサービスをやりたくなり、社長と話してひとりで企画から開発、運用やサポートまで全部担当して。それで、技術的なものを入れ直して起業したという感じですね。
クックパッドの前は、Yahoo! JAPANに8年間ほどいました。そこでは、Yahoo!メールやヤYahoo!知恵袋などコミュニティーまわりのサービス全般を見ている部署の開発部長をやっていました。
参加しようとは思ってなかったのですが・・・・・・(笑)。所長の麻生要一さんと共通の知り合いがリクルートエグゼクティブエージェントにいて、1回PAAKに行きましょうと連れてきてくれたんですよ。そこで、麻生さんに「やりませんか?」と言われて、じゃ「やります」と(笑)。
僕は自社のプロダクトをつくる一方で、いろんな会社で技術のチームを作ったりエンジニアの採用や力を発揮するための仕組を作るお手伝いを社外CTOや技術顧問的な立場でやらせていただいています。体はひとつしかないので一度には1社にしかいれないのですが、どの会社に行っても話している内容はほとんど同じということが多くて。
みんな抱えてる問題もだいたい同じで、どうすればいいのかというのもある程度フレームワーク化出来ると思っているですよね。それを、ウェブサービスにして組織を作っていくためのツールとして利用してもらうというのが、ざっくりとした概要です。
ベストプラクティスみたいなのを集めて、それを参考にすることである程度うまくいくようなサービスを作りたいなと考えました。本を書いた方がいいのかもしれないですけど(笑)。使い方とセットだと思ってるんですよね。
もちろんそれもありますね。フィードバックを簡単に得やすいというのもありますし、実際今α版として数社に使ってもらっているのですが、Slackにサポートチャンネルを作って利用しているユーザーに入ってもらっています。なにかあるといろいろと教えてくれたり、こういう機能がほしいという要望をいただくことがあります。GitHubでソースの管理をしているのですが、そのうち何人かは書き込み権限まであり、パッチを送ってくれたりこういう実装どう?みたいな提案もしてくれます。そうしたやりとりをしながら、作っていってる感じですね。
去年の始めぐらいからスタートして、今年中に1円以上売り上げるのを目標にしています。今年の夏ぐらいまでには、一般リリースしたいと考えています。
結局やりたいのは、既存のサービスでいうと社内版のLinkedinみたいなものに近いですね。それを1社の中に閉じて、この人はどういうスキルがあってどういうプロジェクトに関わってきたか。あるいは、何が得意でどういう成果を出してきたかというのが集まっていくみたいなものにしたいと考えています。
たとえば、社内情報共有ツールって世の中にたくさんあると思いますが、ほとんどの場合“個”の成果しか見ることができません。それはアウトプットのひとつでしかなく、本当はどういう人かわかるようにしていきたいと思ってるんです。2~3人規模の会社で使うイメージはあまりなくて、15~20人ぐらいに組織だってきて「いったい何が得意なんだ?」とわからなくなったときに、それが残っている場所でありたいなと。規模で言うと150~200人以上の会社で使うイメージですね。なので、15~20人ぐらいまでの間は無料で使ってもらい、21人目になったあたりから、お金をもらいたいなと考えています。
小さい組織で売り上げることを想定していないというのもあるのですが、自分たちも小さい会社ですし、正直月5000円を払うのも結構抵抗あるというか、きついみたいな……(笑)。そういう人たちにたいして、応援したいなってすごく思うんですよね。20人以上の会社って、それなりにうまくいってないとそうならないと思うんです。会社が大きくなったときに、お金もらえるとありがたいですね。
今日は別のところで作業したいなと思ったときに、ふらっときて、ただスペースがそこにあるだけでもありがたいですね。あえて(いろんな人を)寄せ集めてくれているおかげで、そこに行けば普段起きないことが起きるというか・・・・・・。何もないと自分からは会わなかったり会えないような人たちと知り合える空間としては、すごく面白いなと思っています。
組織が大きくなっていくと、誰が何をやっているのかわからなくなってしまったり、捨てたアイデアやうまくいかなかったこと、うまくいった経験などが見える化されていない状態自体がすごいもったいないなと思っています。それが見える状態になると失敗の経験も、やりかたが良くなかったとか目標が良くなかったということがわかるだけでも、次のための役に立つと思うんですよね。
僕がいろんな会社を見させてもらっているのも、これまでの知見を自分の中だけにしまっていてもなんの役にも立たず、外に出して初めて価値に変わるみたいなところがあって。情報を抱えていることにあまり意味はなくて、出してなんぼみたいな。で、そこが課題だと思ってるんですよね。それを解決するにはすごい技術もイノベーションも必要なく、ただ使いやすいとかこれが欲しかったというものを作っていくだけでいいと考えています。
“良い”の定義ってすごく難しいと思うんですけど……、良い会社がもっと世の中に増えてほしいなと思ってます。A社もB社もC社もすごい魅力的で、みんな楽しそうに働いているなと。精一杯働いて成果を出して、精一杯社会からも評価される。やりたいことをやって、みんなが生きている世界であってほしいなと考えています。そうするには、会社という器で働くときに、その器がいい器であってほしい。そして、その器がたくさんあってほしい。その器の数を増やしていきたいなと思っています。
それはもう、ガンガンに使ってもらいたいと思います(笑)。人数の少ない間はお金をもらうつもりもないので、使ってもらえること自体が幸せというか・・・・・・普通、使ってもらえないですからね(笑)。どなたでも使ってもらえるなら、それ自体がうれしいことです。使い続けてもらうために自分たちはコツコツとやり続けたいと思います。今年中には、メディアなどにもガツンと出て行きたいと考えています。そのときに興味を持っていただけるとうれしいですね。あとは、そう思ってもらえるものを作っていくだけです。