2016-05-02
■人間の性格や能力はほとんど遺伝で決定する!?教育は無意味?会社が儲かるかどうかはCEOの顔で決まる・・・な衝撃的な本 
シン石丸が「この本おもしろいよ」と言う本はたいてい面白い。
果たして、試しに買ってみたこの本はなるほど相当に面白い。
- 作者: 橘玲
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/04/22
- メディア: Kindle版
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この本は、進化心理学や社会生物学といった最先端の進化論を用いて、今の社会における「好ましいモラル」に反するような科学的事実を淡々と指摘している。
特に目を引くのが、人間の性格や能力を決定する際の遺伝的事実で、本書では別々の場所で育てられた一卵性双生児が数十年後再開したときに驚くべきほどの共通点を多数持っていることなどが紹介されている。
たとえば結婚相手、飲酒・喫煙の習慣、自分の子供につける名前、などがことごとく一致しているのだ。育った環境は全く違うのに、同じのはDNAだけだと考えると、これは驚異的な結果である。
また、男女における性差も遺伝的に決定されているというタブーを本書では指摘している。
イスラエルでは、キブツという制度があり、産まれた子供は親から離れてキブツという施設で男女関係なく育てられる。キブツでは男女は完全に平等であり、全く同じように教育を受けるが、将来選択する仕事は男子は機械・光学系などモノを相手にする仕事、女子は医療・福祉など人を相手にする仕事に偏っていくという。
これまで、女子が「女の子らしい」仕事をするのは、ジェンダーによる抑圧の結果と考えられてきたが、完全にジェンダーを廃して育ててもこのような傾向が顕著に出るのは脳や神経細胞の構造が異なるからだと本書は指摘する。
Forbs500企業のCEOの顔だけを分析した結果、顔が横に広いCEOの会社の方が、顔が縦に細いCEOの会社よりも成功しているということも分かったらしい。
さらに、近代の人間は一夫一婦制を採用しているが、本来の人間の婚姻形態は実は乱婚だったとか、そもそもイギリスのとある調査によれば、妻が夫以外の男の子供を妊娠して夫に育てさせている確率は平均して10%で、高所得層では2%まで下がるが、最低所得層では30%に跳ね上がることなど。にわかには信じられない衝撃の事実が次々と語られる。
本書の内容を鵜呑みにしていいのかどうか、悩むところもあるが、橘玲らしく理路整然と無矛盾に語られているので読みやすいしわかりやすい。
ちなみに教育が無意味というのは半分語弊があって、男子校または女子校といった男女別学の学校に進学すると、女子はジェンダーによる「女の子らしい好ましさ」を振る舞わなくていいので才能が開花しやすく成績も上がりやすいことなどが指摘されている。
親の躾そのものは宗教観くらいしか影響を与えることが出来ないが、親が子供をどのような環境に置くかは成長にとって極めて重要であることが指摘されている。
子供は、ある集団の中で自分のキャラを定め、そのキャラに従って育とうとする(これは誰しも経験のあることだろう)。従って、「勉強するなんてかっこ悪いぜ」という友達集団の学校に入れると、当然成績は下がり、逆に「大学に進学できなければ恥ずかしい」という環境で育てば、自然に大学進学を希望するように育つ。
その意味では、親が子供に与えられる教育は、環境選びだけである。
と聞くと、納得いく人も多いのではないだろうか。
進化心理学や社会生物学は、人間を昆虫や動物と同じように見るので、実はニューラルネットワークや人工生命の研究と共通項が多いと思う。遺伝子がいかにコピーを作るかという純粋な経済合理性によって人間の行動や社会の動きが分析されるので気持ちがいい。
その意味で僕には大いに参考になる所の多い本だった。
世の中をふつうと少し変わった視点で見つめたい人にオススメ
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