米為替監視国リスト入りでウォン高圧力、輸出不振の韓国に追い打ち

 同法は為替操作国の指定条件として、▲著しい対米貿易黒字▲多額の経常収支黒字▲持続的かつ一方的な為替市場介入――という3項目を定めているが、米財務省は今回の報告で各項目の詳細条件を定めた。内容は(1)対米貿易黒字が200億ドルを超えている(2)経常収支黒字が国内総生産(GDP)の3%を超える(3)為替相場を操作するために買い入れた外貨建て資産の買い越し額がGDPの2%を超える――などだ。この基準に沿い、米国が貿易相手国を審査した結果、韓国、ドイツ、日本、中国の4カ国は(1)と(2)を、台湾は(2)と(3)を満たすと判断された。3条件全てを満たした国はなく、為替操作国の指定は行われず、5カ国・地域が為替監視国となった。

 同法は対米貿易黒字で巨額の黒字を上げる中国を主に狙ったものだが、あと一歩で韓国も「流れ弾」に当たるところだった。米財務省は韓国が(3)の条件に該当しない根拠として、2015年下半期から16年3月まで260億ドルの外貨を売り、ウォン安を防いだ点を挙げ、「そうした措置は、ウォン高を阻止するために介入してきた過去数年間の基調からの変化を意味する」と述べた。言い換えれば、韓国がこれまではウォン安誘導で為替市場に介入したが、最近は反対にウォン安阻止のために介入しており、「一方的な市場介入」とは言えないということだ。

 今回韓国は為替操作国への指定を免れたが、対米貿易黒字国に対する米国の圧迫はさらに強まる見通しだ。「不公正貿易」は米大統領選の争点として浮上し、共和・民主両党の有力候補が中国に対する非難や警告を発しているからだ。

■介入に制約も、強まるウォン高圧力

 今回の為替監視国指定に韓国政府はひとまず安堵(あんど)の雰囲気だ。柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相は「監視国には指定されたが、それは米財務省が常に行っていることで、以前と変わりはないと思う。基本的に為替政策には大きな影響はないのではないか」と述べた。

 しかし、為替相場が急激に変動するたびに為替当局が実施してきた「微調整(スムージング・オペレーション)を米国が「介入」と規定したことで、為替当局は今後対応に苦慮しそうだ。漢陽大経済学科のハ・ジュンギョン教授は「米国は根拠なくそう言っているのではなく、介入規模などを数値化して観察していくということだ。韓国為替当局が市場介入を行う上では制約が生じた」と指摘した。為替当局の介入が減れば、ウォン高圧力が自然と高まりそうだ。29日のウォン相場は1ドル=1139ウォンで取引を終えた。

チェ・ギュミン記者
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