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スポーツ界で、また不祥事が発覚した。スノーボードの強化指定選手2人が大…
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スポーツ界で、また不祥事が発覚した。スノーボードの強化指定選手2人が大麻を使用したとして、全日本スキー連盟から処分された。
2人とも未成年である。本人たちの説明を丁寧に聞き取ることが欠かせない。同時に、成長過程である選手の不適切な行為を見逃したスキー連盟は、責任を直視すべきだろう。
スポーツ界は世界で戦える選手の育成のために、競技を問わず、強化する選手の低年齢化と向き合っている。海外に遠征する機会も多く、未成年の選手がさまざまな環境におかれる。
選手強化と、人間としての教育との両立を図るには、どんな取りくみや配慮が必要か。スキー連盟に限らず、各競技団体は真剣に考えるときだ。
2人は毛髪検査で大麻成分が検出された。1人は合宿先の米国コロラド州で使ったと認めた。もう1人は吸っているところを見たと複数選手が証言した。コーチやスタッフは使用に気がつかなかったという。
合宿での選手管理はどうなっていたのか。監督が不十分だったと言わざるを得ない。
スキー連盟には未成年の選手がいれば、40代で活躍するベテランもいる。専務理事は年齢に関わらず同じように管理していると話したが、10代の選手への接し方が大人と同じとしたら適切とはいえまい。教育プログラムを早急に導入してほしい。
素質ある若者を東京の施設で育てる日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーにはこの4月、4競技で中学1年1人と3年2人、それに高校1年の2人が入校した。小学生も対象になる選手発掘事業も各地で開かれている。
見込まれて練習や遠征に重きが置かれることになれば、ふつうの教育の機会からは遠ざかっていくことにもなる。
これからのスポーツ界は、競技に長い時間を割く子どもたちに対して、人間教育もきちんと施す役割を担う必要がある。
強化選手に限らず、スポーツに励む子ども全般の健全な成長を促すには、選手を取り巻く大人たちの意識が問われる。
JOCは、競技以外を含めたバランスのいい生活を選手が送れるよう家族の支援を求めたり、カウンセラーの役割をコーチに求めたりしている。
さまざまな競技を各地で教えるクラブの指導者や保護者らの取りくみも欠かせない。
勝利だけを目的とした選手の育成よりも、社会の中で責任を持つことができる人物への成長に向けて、目を配りたい。
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