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すでに「みなし仮設」の受け付けも始まった。
→ なぜ賃貸住宅が足りない?
なのに、あくまで避難所(または車中泊)に留まりたがる人が多い。なぜか?
この疑問に答える新聞記事があった。(読売・朝刊・社会面 2016-04-29 )
「どうして車中泊を続けるのか?」
という質問に答える形。多くは単に「元の生活に戻りたい」というようなことを語っているだけだが、3人、理由を答えた人がいる。
・ 町内会長をしている責任感。
・ ペット病院にペットがたくさん来て、仕事が多忙。
・ 仮設住宅ができるのを待つ。
1番目と2番目は、仕事中毒みたいなものだ。本人ばかりが仕事の重要性を過大評価している。別に、さっさと疎開しても平気なのだが。(仮にペットが死んだとしても、人間が死ぬのとは違う。)
3番目が問題だ。避難所暮らし(車中泊暮らし)は、健康の点ですごく悪いと自覚していながら、「ここにいれば仮設住宅に入れる」と信じて、1カ月以上先の仮設住宅を待つために、ずっと苦しい不健康な生活を送ろうとしている。
逆に言えば、彼らに苦しい不健康な生活を送るように促しているのは、政府や自治体の「仮設住宅を建設する」という方針なのだ。政府がこういう方針を取るからこそ、人々は避難所暮らし(車中泊暮らし)をやめようとしない。つまり、政府や自治体は、「仮設住宅」という餌を目の前にぶら下げることで、人々を(エコノミークラス症候群を通じて)死に導いているのだ。
この件は、前にも記した。
→ 仮設住宅は人を殺す
一部抜粋しよう。
高齢者の生命を救うために、政府が勧告するべきだろう。
「ただちに避難所を離れて、各地で医療を受けてください」
というふうに。
しかるに、政府は、それとは逆のことをする。
「避難所に留まってください。避難所に留まった人だけに、仮設住宅という素晴らしいご褒美を上げますよ。たっぷりとお金のかかった仮設住宅がほしければ、避難所に留まりなさい。もし避難所から出たら、仮設住宅に入れてあげませんからね」
というふうに。
高齢者が「故郷から離れたくない」という思いは、「自分の命を失ってもいい」と思うほど強いものだ。そこで、仮設住宅に入りたい人々は、次々と死んでいく。そして、その状況を、政府があえて推進する。
政府は、「仮設住宅の建設」という方針を採る。そのことで、国民の税金を、人殺しのために使っているのだ。
これは一部抜粋だが、上記項目をじっくり読んでほしい。結果的に、東日本大震災では、 3400人が死んだ。震災関連死という形で。
→ 被災者にホテルと仮設住宅 (項目の最後)
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結論。
エコノミークラス症候群になる危険性が高いのに、いつまでも避難所(または車中泊)に留まる人々が多いのは、なぜか?
政府がそういう愚行を推進するからだ。1000万円分の餌を、目の前にぶら下げることで。
なお、この殺人政策にかかる費用は、全額、政府と自治体の負担だ。(9割ぐらいが政府負担。) あなたの払った税金も、住民を救うためではなく、住民を死なせるために使われる。
[ 付記 ]
この意味で、仮設住宅というのは、一種の殺人装置のようなものだ。これを餌にして、獲物を帯び寄せる、罠。その手前に落とし穴があるとは、獲物は気づかない。だまされて、おびき出される。
だまされるのは、被災者だけではない。読売の社説もそうだ。
《 熊本仮設住宅 避難所生活の長期化防ぎたい 》
熊本地震で損壊した住宅は2万棟を超える。被災者の避難所暮らしが長期化せぬよう、仮設住宅の整備を急ぎたい。
一部の避難所では、感染症が発生している。プライバシーを保てないなどとして、車内で寝泊まりする住民には、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)が相次ぐ。
熊本県は、本震で震度7が観測された西原村に、まず50戸を建設すると発表した。5月に着工し、6月の完成を目指すという。
東日本大震災では、アパートなどの民間賃貸住宅を利用する「みなし仮設」の仕組みも、多くの被災地で導入された。整備費の抑制が見込めるだけに、今回も積極的に活用すべきだ。
仮設住宅が用意されるまでの間は、避難所の環境改善にも取り組まねばならない。間仕切りの設置や、仮設トイレの増設といった対応が求められる。梅雨や暑さへの備えも不可欠だ。
( → 読売新聞 : 社説 )
冒頭で、仮設住宅の推進を打ち出している。「みなし仮設ならば整備費の抑制が見込める」と理解しているし、6月の完成まで1カ月以上もかかると理解している。それまで避難所の環境はひどいし、感染症や肺塞栓症の危険もあると理解している。
つまり、こうだ。
・ 仮設住宅には多くの問題があると理解している。
・ みなし仮設ならばそれらの問題はないと理解している。
・ なのに、ベターな見なし仮設よりも、ずっと悪い仮設住宅を推奨している。
論理が滅茶苦茶としか言いようのない論説だ。こんな文章を書いて「頭大丈夫か」と言いたくなる。
【 追記 】
読売の記事では、仮設住宅の完成は6月と記されていたが、30日の朝日の記事によると、6月下旬とのことだ。
……県が 29日、発表した。県は同日、西原村と甲佐町で計 100戸の応急仮設住宅を着工。6月下旬の入居をめざす。
( → 朝日新聞 2016-04-30 )
完成時期と入居時期は少し違うのかもしれないが、いずれにせよ、入居は2カ月も先だ。今すぐにも入居できる「みなし仮設」とは全然違う。
なお、それとは別に、「ウィークリーマンション/マンスリーマンション」というものもある。熊本市内で1日ごとに 1500円〜3000円ぐらいで借りることができる。2週間ぐらいの短期滞在ならば、ホテルのかわりになる。例は下記。
→ 熊本市のマンスリーマンションを比較する
ここに一時的に滞在してから、みなし仮設に入ることができれば、それが最善だ。
難点は、熊本市がたったの 2100件しか予算化していないことだ。万単位で予算化すればいいのに。……ここが最大の難点。行政の失敗。何度も指摘したとおり。
あと、すでに入居した人に対しても、「みなし仮設」と認定して、家賃無償化をするといいだろう。その方が合理的だ。
( ※ ただし、敷金・礼金は減額してもいいかも。)
( ※ 単身者・夫婦・子連れなどで、家賃負担の上限を変えるべきだろう。)
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