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日中外相会談 安定した対話の継続を

 岸田文雄外相がきのう北京で王毅外相と会談した。南シナ海を巡る主張は隔たったままだが、現状から悪化しないよう対話の流れを確実にすることが重要だ。安定的な日中関係を構築できるよう期待したい。

     会談では、停滞する世界経済の安定に向けて連携を図り、弾道ミサイル実験など挑発行為を続ける北朝鮮に対し、国連安保理の制裁決議の厳密な履行を図ることを確認した。そのうえで、日中を「協力のパートナー」とし、関係改善に向け努力することで一致した。今月26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論にも有益だ。

     王外相は秋に日本で開催予定の日中韓外相会談に出席の意向を表明した。9月の中国・杭州での主要20カ国・地域(G20)首脳会議の際に日中首脳会談を実現させ、年内の日本での日中韓首脳会談へとつなげてほしい。

     国際会議以外で日本の外相が訪中するのは2011年11月以来、約4年半ぶりだ。会談の冒頭、王外相は「中日関係がぎくしゃくしてきた原因は、日本がよくわかっているのではないか」と水を向けた。冷ややかな両国関係を象徴する場面だった。

     曲折を経ながら昨年11月のソウルでの日中韓首脳会談で改善の兆しをみせた日中関係だったが、中国がいらだちを募らせたのは、日本が南シナ海での海洋進出を巡って中国をけん制し続けていることだ。北朝鮮が4度目の核実験を実施した今年1月、日本が求めた外相電話協議を拒否するほどに関係は冷え込んだ。

     日中共通の安全保障上の重大問題に対し、迅速に対応を協議できないという事態は、異常といっていい。東シナ海で不測の事態が起きても、軍事衝突を回避する危機管理メカニズムが十分に機能しないおそれすらある。アジアの2大国である日中関係の停滞は、東南アジア諸国にとっても「踏み絵」を迫られる不安材料として認識されている。

     中国が外相会談の日程設定に応じたのは、南シナ海問題に関して声明で中国を名指ししなかった主要7カ国の外相会合の直後だった。伊勢志摩サミットを前にクギを刺す狙いもあったろうが、第2位の貿易相手国である日本との疎遠な関係を放置すれば、減速する自国経済にもマイナスという判断があったとみられる。

     日中関係は、一朝一夕には改善しない。岸田外相は「新しい時代にふさわしい日中関係を築きたい」、王外相は「安定した善隣友好関係を発展させたい」と言った。ともに、現実と歴史を直視した理性的な対話の継続が土台となる。まずは、協力分野を拡大し実績を積み上げていくことから再び始めたい。

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