「中国の多数の元囚人や元被拘束者たちが、当局者から殴打され、電氣ショックを与えられ、堅いイスに長時間あるいは何日間も縛りつけられ、睡眠も禁じられたという実態を報告している。中国ではこの種の拷問が刑事犯、政治犯一般に対して広く実行されており、特に政治犯、宗教犯、反体制活動家に集中的に実施される。活動家はその家族までが逮捕され、この種の拷問を受けることがある」
マルコ議員はこうした拷問の目的について、「最近は、反政府活動家らから虚偽の自供を得て、その自供をテレビで放映することが顕著にみられます」と述べた。つまり中国当局は、実際には行っていない違法行為の自白を拷問によって活動家から取得し、その内容を本人の口からテレビあるいはビデオなどで公表するのだ。卑劣な手法と評する以外にないだろう。
肋骨が折れ膝の関節が脱臼したことも
さて、チベット人の僧侶ゴログ・ジグメ氏は公聴会に赤い僧衣を着て登場し、通訳を使って証言した。ジグメ氏の証言にクリス、ルビオ両議員や100人以上の傍聴者が耳を傾けた。
「私が中国当局者たちの拷問にいかに苦しんだか、すべてを語れば、時間がいくらあっても足りませんので、要点をお話しします。
最初の2008年の拘束では52日間、連日拷問を受けました。『虎のイス』という鉄製のイスに縛りつけられ、両手にきつい手錠をかけられ、両足も後ろに曲げてカセをかけられました。全身の関節が痛む姿勢です。昼も夜もそんな状態が続き、食物も飲み水もほとんど与えられず、眠ることも許されませんでした」
「当局が私を拘束した理由は、ドゥンドゥプ・ワンチェンというチベット人の映画製作者が『恐怖を乗り越えて』というドキュメンタリーフィルムを作ることに私が協力したからです。この映画はチベット人の文化や信仰をあるがままに描いた作品です。しかしワンチェン氏は逮捕され、裁判もなく、6年間も刑務所に入れられました。中国当局は私に、同氏と共謀して中国国家への反逆行為を行ったと自供するよう命じました。さらにダライラマを誹謗することも迫りましたが、私は命令に従いませんでした」