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刀剣は単なる武器ではなく、偉大な力の象徴でもある。RPGにおいては何がなくとも手に入れなければラスボスは倒せない。
何世紀にもわたって、儀式での奉納品や、戴冠式の道具、貴重な交易の品として使われてきた剣は、それらにまつわる勇者や英雄たちの伝説や武勇伝をもたらしてきた。あくまでも伝説の域を出ないわけだが、それでも古い刀剣には得体の知らないパワーを感じる。日本からは「妖刀村正」や「七支刀」チョイスされている。
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ジュワユーズ:シャルルマーニュの伝説の剣(フランク王国)
現在、ルーブル美術館に所蔵されているこの剣は、歴史上もっとも有名な剣だ。1200年前にフランク王国(5世紀から9世紀にかけて西ヨーロッパを支配したゲルマン系の王国)を治めていたカール大帝(シャルルマーニュ)が所有していたと言われている。数多くの戴冠式でも使われた剣で、魔力が宿っていると言われ、古代の伝説や神話と結びついている。
七支刀(日本)
古代倭王家に仕えた豪族物部氏の武器庫であったとされる奈良県天理市の石上神宮(いそのかみじんぐう)に伝来した鉄剣。石上神宮は4世紀ごろ建てられたとされている神社で伝説の七支刀を含むいくつかの国宝を所蔵していることで知られている。
『日本書紀』には七枝刀(ななつさやのたち)との記述があり、4世紀頃、倭に対し百済が朝貢した際に献上されたものとされ、関連を指摘されている。刀身の両側から枝が3本ずつ互い違いに出ているため、実用的な武器としてではなく祭祀的な象徴として用いられたと考えられている。当時の中国との関係を記す現存の文字史料の一つであり、好太王碑とともに4世紀の倭に関する貴重な資料である。
岩に突き刺さったサン・ガルガーノの伝説の剣(イタリア)
イタリア、トスカーナのモンテシエピにある、現在は廃墟になっているサン・ガルガーノ修道院の中に、岩に突き刺さったままの12世紀の剣がある。現在は岩ごとガラスケースの中で守られている。
伝説によると、裕福な貴族で、勇猛な騎士でもあったサン・ガルガーノによって突き立てられたものだという。彼は大天使ミカエルの幻視を見てからキリスト教に改宗した。サン・ガルガーノがモンテシエピを歩いていたとき、丸い聖堂と十二使徒に囲まれたイエスと聖母マリアの姿を見た。世俗の欲望をすべて放棄するよう命令する声が聞こえ、サン・ガルガーノはそんなことは剣で岩を砕くのと同じくらい簡単だと答えた。そして自分の剣を引き抜いて、岩に突き立てた。驚いたことに、剣は温めたナイフがバターを切るように岩を貫通し、それ以来、そのままの姿で岩に突き刺さったままになっているという。
勾践剣(中国)
約50年前、珍しい剣が中国の墳墓で発見された。ゆうに2000年以上たっているにもかかわらず、この剣はまったく錆びていなかったという。考古学者が刃に指を触れたところ、たちまち血がにじみ、切れ味も時間の経過の影響を感じられなかった。
さらに奇妙なのは、こんな大昔にこのような繊細な装飾を施す高度な名工がいたことだ。この剣は、今日の中国では国宝とされているが、かつて越王の勾践(こうせん)が所有していて、中国の人たちにとって、西洋のアーサー王のエクスカリバーの剣と同じような伝説の剣なのだ。
妖刀村正(日本)
村正千子(むらまさせんご)は、日本の室町時代(14〜16世紀)の伝説の刀鍛冶職人である。完全に常軌を逸していて、暴力的な傾向があったと言われている。その破壊的な性質がこの名工の作った刀、村正にのりうつっているとも信じられている。この刀が、使う者を狂人に変え、村正自身のような獰猛な武士に変えてしまうという。
こうした悪い評判にもかかわらず、村正は優れた品質をそなえた刀であることも確かで、人気があった。ところが、江戸の初代将軍、徳川家康時代、村正の人気は一気に落ちた。家康の父も祖父も、家臣の持っていた村正で殺され、徳川家ゆかりの人間が偶然にも村正で命を落としたり、怪我をしたりする出来事が続いた。徳川家は村正に呪われていると考えられるようになり、結果として、村正の帯刀が禁じられ、刀もつぶされた。
(ただし川美術館は徳川家康が村正を嫌ったのは「後世の創作」であると断言している。)
ウルフバート:謎めいたヴァイキングの剣(ヨーロッパ)
紀元800年から1000年の間に作られた、ヴァイキングの剣ウルフバートがヨーロッパじゅうで170ほど見つかっている。純金属で鍛造されているこの剣は、非常に高い技術で仕上げられていて、時代を先取りしているという。
カーボンの含有量が当時のほかの金属の3倍以上という、るつぼ鋼によって作られている。しかし、この技術はこの時代から800年以上たった産業革命の時代にならないと、開発されていないはずだった。この剣は最初、中東かアジアが発祥と思われていたが、研究によって原料は中央ヨーロッパのものであることがわかった。しかし、原料やノウハウが中東から伝わってきた可能性はある。ヴァイキングの居住地と中東を結ぶヴォルガ通商路が開かれたのと、最初のウルフバートが現われて、最後のウルフバートの製造が終わった時期が同時期なのだ。
ロシア皇帝、イワン雷帝に捧げられし剣(ロシア)
1975年、考古学者はドイツで作られて、スウェーデンで装飾され、シベリアで発見された謎めいた中世の剣に遭遇した。研究者たちは、12世紀のヨーロッパの剣が、遠く離れたロシアのシベリア、ノヴォシビルスクのオミ川流域で発見されたことに当惑した。
詳しく調べると、この剣はロシア皇帝、イワン雷帝に贈り物として捧げられたらしいことがわかった。のちにコサック族の長、イェルマーク・ティモフェヴィッチ率いるシベリア征服の戦いに先立って、伝説の戦士イワン・コリツォーが使ったという。
奉納剣(中国)
2014年7月、アメリカ、ジョージア州の小さな川のほとりで、奇妙な発見があった。それはリザーダイト製の見事な中国の奉納剣だった。剣にはドラゴンの頭や中国の伝説の怪物、饕餮(とうてつ)の顔が刻まれていて、これは夏(紀元前2070〜1600年)、殷(紀元前1600〜1046年)、周王朝(紀元前1046〜256年)時代の翡翠で作られたさまざまなものにも見られる。
この珍しい遺物のせいで、コロンブスが到達する前に中国人が北米に渡っていたという説の信憑性が高まっている。
シャムシールの片刃(インド)
イタリアやイギリスの研究者や自然保護論者が、美しい曲線を描くシャムシールという片刃の剣を調査し、インドの剣の見事な技巧が明らかになった。こうした形状は、ペルシャが起源で、アジアに広がり、ついにはや三日月刀と呼ばれる似たような武器グループが生まれるまでになった。これらは東南アジアのさまざまな国で作られている。
純度の高い鉄を使うのは定着していたが、少なくとも1%という高いカーボン含有量は、刃物用鋼で作られていたことがわかる。こうしたるつぼ鋼タイプは、歴史的にインドや中央アジアで、高品質の剣やその他の格式高い物品を作るのに使われた。
ローランの伝説の聖剣(フランス)
フランス、トゥールーズの北160キロのところにある巡礼の地ロカマドゥールの岩に、伝説の鉄の剣が刺さっている。伝説によると、このデュランダルという剣は、中世ヨーロッパの逸話に出てくる有名な人物ローランに授けられたもの。
ローランは、神聖ローマ帝国皇帝シャルルマーニュの甥で、彼に仕えた十二勇士中最大の武将。キリスト教徒とイスラム教徒が戦った実際にあったロンスヴォーでの戦闘で、最後のひとりになるまで戦った伝説で有名となった。
デュランダルには、偉大な力が秘められていると言われていたため、これが敵の手に渡るのを阻止するために、ローランは剣を破壊しようとした。ところが剣を振り上げて、ロカマドゥールの岩にたたきつけたが、剣は壊れずにそのまま岩に食い込み、それが今日まで残ったままになっているという。
via:Ten Legendary Swords from the Ancient World・translated konohazuku / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
デュランダルの剣とか実在してたのか
おとぎ話の中の話しかと思ってた
2. 匿名処理班
シャムシールの繊細な細工きれい
3. 匿名処理班
天叢雲剣は入ってないかー。
まあ写真がないんじゃしょうがないか。
4.
5. 匿名処理班
一本だけ、何かの遺跡の鍵みたいだね
封印の遺跡に持っていけば、扉が勝手に開きそう
6. 匿名処理班
え゛ーーー日本なら天叢雲剣だろ~~!!
あんなにロマンがある剣は少ないはず
7. 匿名処理班
*3
草薙の剣と書きかけて同じ物だったことに気付いた。
記事の執筆者は悩んだろうな。日本刀だけで20振りは挙がるからな。
意識的に避けたのかな。
8. 匿名処理班
伝説の剣も錆びるんやな
9. 匿名処理班
奉納剣はアリューシャン、アラスカ経由で流れて行った物品じゃないの?
オホーツク海以北の交流とかさっぱり分からんけど
10. 匿名処理班
国立博物館で七支刀を見たけど、あまりの小ささにがっかりした。
大昔ゲームで七支刀が普通の刀の大きさしてたので、そのイメージが残ってたせいでもあるけど。
たしかにあの大きさでは祭祀用だなと思う。
11. 匿名処理班
韓国は七支刀は日本に朝貢したものではなく、下賜してやったものだと言ってるみたいだけどね
12.
13.
14.
15.
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