写真広場
写真部のカメラマンが撮影した数々のカットから、お薦めのもう1枚を紹介します
【放送芸能】新たなブームの予感!? 韓流ミュージカル続々上映日本でミュージカルといえば、米国のブロードウェーや英国ウエストエンドの作品が多いが、最近は韓国ミュージカルも増えている。韓国はミュージカル市場の成長が著しく、オリジナル作品の制作も盛んだ。映画、ドラマ、K−POPに次ぐ「韓流ブーム」となるのか注目される。 (砂上麻子) 「粗削りなところはあるが、音楽が素晴らしかった」。十四日から東京・世田谷パブリックシアターで上演される「ブラック メリーポピンズ」を制作する「キューブ」(東京都渋谷区)のエグゼクティブ・プロデューサー市村朝一さん(63)は作品の魅力をこう語る。 同作は韓国オリジナル作品で二〇一二年に初演された。舞台は一九二〇年代のドイツ。ある心理学者の邸宅で火災が発生し、家庭教師メリーが全身にやけどを負いながら四人の子どもを助け出すが、彼らの封印された記憶とともに衝撃の過去が明らかになるというストーリー。濃密な心理スリラーとして韓国で話題になった。日本人の役者による日本版は二〇一四年に上演され、今回が再演となる。 また、韓国で〇六〜一四年にロングラン上演された「キム・ジョンウク探し〜あなたの初恋探します」も六月から、日本人の配役で東京・よみうり大手町ホールで上演される。制作する「atlas」の後藤まどか代表(32)は「一人の俳優が二十二役を演じるマルチマンが登場するなど、日本の作品にはないアイデアが多い」と上演を決めた理由を語る。 来年一月には、フランケンシュタイン博士と怪物の誕生をめぐる悲劇を描いた韓国オリジナル作品「フランケンシュタイン」の日本公演も控えている。 ♪ ♪ 韓国ミュージカル雑誌「THE MUSICAL」によると、韓国では一九九〇年代からオリジナル作品づくりが活発になり、二〇一五年にはソウルなど首都圏で上演された二百三本のうちオリジナル作品は百五十六本と76%を占めた。同誌のパク・ビョンソン編集長(41)は「九〇年代に民主化を実現し、歌謡曲など大衆文化が盛んになり、その一つにミュージカルがあり、オリジナル作品も作られるようになった」と説明する。 韓国ではオリジナル作品の制作を支援する企業や財団も多く、二十〜三十代の若手作家が作品を発表する機会も多い。二〇〇五年ごろから韓国でオリジナル作品を見続けている市村さんは「韓国にはミュージカルの楽曲をオーケストラ用に編曲できる若い作曲家が多く、勢いがある」と評価する。 日本では二〇〇〇年代の韓流ブームも手伝い、韓国オリジナル作品がいくつか上演されたが、文化交流の側面が強かった。一〇年ごろからは日本でも人気の韓国人アイドルらがミュージカルに出演。徐々に韓国人俳優による来日公演が増え、ここ数年は韓国作品を日本人俳優で上演する形態が増えている。 舞台や照明、音響など優れた舞台技術を誇る日本と、オリジナル作品を生み出す韓国。市村さんは「日韓が互いの利点を補完して、オリジナル作品を作りたい」と夢を膨らませる。パク編集長も「韓国オリジナル作品のレベルを高めるためにも、日韓双方が共同で制作するという意識を持ってほしい」と期待する。 ◆俳優・小西遼生「緻密な作品多く、刺激になる」2年ぶりの再演となる「ブラック メリーポピンズ」など韓国ミュージカルへの出演が続く俳優小西遼生さん(34)に、魅力について聞いた。 −小西さんは14年の「ブラック−」の公演で初めて韓国オリジナル作品に出演した。 最初の曲が印象的で物語の世界に引き込まれた。出演者も4〜5人と少ないがハーモニーも複雑で、作品をミステリアスにしている。この作品は、原作者のソ・ユンミさんが脚本、作詞、音楽を1人で担当していると聞いて驚いた。 −今回はタレントで歌手の中川翔子さん(30)が初めて舞台に挑戦する。 音に対して正確で、声の質も魅力的。ほかの出演者と混じり合った声がすごくきれいで高音の伸びもある。再演は初演より作品に深みを出すチャンスでもあるので、中川さんが加わり新しい作品ができると期待している。 −ほかにも「シャーロックホームズ2〜ブラッディ・ゲーム〜」(2015年)や「フランケンシュタイン」と韓国オリジナル作品への出演が相次ぐ。 ミュージカルは米国や英国、ウィーンというイメージがあったが、身近な韓国にも欧米に負けない緻密なメロディーの作品が多い。韓国ではオリジナル作品が日本の下北沢のような小劇場で頻繁に上演されていると聞いて、日本との文化の違いを感じる。 日本でもオリジナル作品は作られているが、ショービジネスとしてもっと盛り上がってほしい。最近は制作にも関心があり、日本人による日本のオリジナルミュージカルができればと思っており、韓国ミュージカルは刺激になっている。 PR情報
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