【高雄=伊原健作】日本が東京都・沖ノ鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)で台湾漁船を拿捕(だほ)したことに台湾当局が抗議している問題で、台湾の海岸巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船など計2隻が1日、南部の高雄から同島沖に向け出航した。周辺で漁民保護活動にあたる。
巡防署幹部によると、保護活動は必要に応じて1~3カ月間続ける方針だという。日本側から放水などの実力行使があった場合は「相応の対応をとる」とする一方、あくまで平和的に活動したいとも強調した。
台湾の馬英九政権は沖ノ鳥島は「島ではなく岩」と主張し、公海上での拿捕は違法として反発している。5月20日には民進党・蔡英文政権の発足を控える。馬政権の対日強硬姿勢の背景には、親日的とされる次期政権をけん制する狙いがあるとみられる。日本側は「沖ノ鳥島は国際海洋法条約で島としての地位が確立している」と冷静な対応を呼びかけている。