人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。
はてなブックマーク
ブログ記事が短時間で3つのブックマークを獲得すると、「新着エントリー」というページに掲載され、通常よりも多くの注目を集めることができる。10・30・50とブックマークを集めることでさらに注目度の高いページに掲載され、通常では考えられぬほどのアクセス数を生み出す。「ホットエントリー」として耳目を集めるのがこれらの記事である。
かなり前から「互助会」と揶揄されるケースが散見される。記事内容が誰にしも認められるような普遍的な面白さを有さず、知り合いなど交友関係の範囲内でブックマークを多数集めてしまい、注目を集めることになったエントリーの著者に対して批判の意味を込めて「互助会」という言葉を使われることが多い。
従来は双方の利益のためにブックマークを意図的に付けあう、規約に反する使い方をするユーザーやその集団を指す言葉として定着してきたが、最近では単純に「つまらないと思う閲覧者が多数を占める記事のホットエントリー入り」がこのように呼ばれることが多くなっているようだ。
返報性
冒頭で紹介した「返報性」というものが、はてなブックマークにも影響していることは否めない。体感だが、普段から色々なユーザーのページをブックマークして回るほうが自分の記事に対するブックマーク率は明らかに増える。
統計的な因果関係を精査したわけではないが、ブックマークされやすいユーザーの多くは、いろいろな場所でブックマークをしている場合が多いような気がする。これが「互助会」と揶揄られる大きな要因の一になっていることが想像できる。
良し悪し
さて、これが良いか悪いかというのは、一概には言えない部分がある。このような利用者はルールの範囲内でシステムを使用しており、規約違反や悪用となることがわかっていて恣意的に利用しているとは断定しがたいからだ。また、それを客観的に判断する方法はない。規約違反的互助会を公にするのであれば、その証拠の露見または自白が必要だろう。
では、普遍的な面白さを有さないにも関わらず耳目を集めて「互助会」と揶揄されるような場合はどうなのか。これも「悪」とは言い難い。誰しもが楽しめる情報発信は望むべきところだが、意思の発出というのは往々にして批判を生む。批判ありきのコンテンツ制作は炎上商法という歪んだ運営手法となるためよろしくないが、「私はこう思う」と断じるオピニオン系記事などは、批判というのは付きもの。
何らかの証左に基づいて情報を発信するコンテンツならいざしらず、自分の意思発出において皆から好かれるような記事を目指しすぎると四角四面で八方美人な面白みのない記事になってしまう。書き手の魅力が伝わる文章というのは、何らかの癖があることが多い。もちろん読みやすいにこしたことは無いが、根強いファンを獲得していくのは往々にして「個性的な記事」である。
自分らしいブログを目指すのであれば、評判を気にして個性を殺すよりも伸び伸びと記事を書いたほうが良い。あわせて、普段からのブックマーク使用による返報性の原理が働き、結果的にブックマーカーに知り合いが多く含有してしまうというのは仕方のないことなのかなと考える。個性的な記事は今日もホットエントリーを賑わせているわけで、そのような記事がシステムによって耳目を集めること自体が悪いこと、というわけでもないわけで。
ブックマーカーは減ったが
かつて多くの記事をブックマークして回った僕は、ここ最近では使用頻度を極端に下げた。定期購読者のブログが巡回対象になっているためお互いに知っている者同士でブックマークを付けるということは日常的に発生しているが、本当に「面白い」と感じた記事か、どうしてもコメントを残したいと思える記事にしかブックマークをしなくなった。
かつて挨拶代わりとまではいかないが、ちょっとしたコメントを残したいときでも利用していたブックマークを多用しなくなったのである。互助会などと揶揄される最近の風潮について自分なりに考えるところがあるのか、キュレーションメディアとしての質を高めることに貢献したいという意思も無意識下で醸成されているのかもしれない。また、メディアリテラシーが徐々に高まってきているのもひとつの要因かもしれない。
ともあれ「ブックマーカー」が減ったのである。自分の書いた記事に「ちょっとコメントを残したい」というような使い方をするユーザーがいなくなった。言い換えれば返報性によるブックマークを獲得しなくなったとうわけだ。
H28/3/14~H28/3/31までの流入割合及びPV数。
はてなブックマークによるアクセス数は「ソーシャル」に分類される。Twitterによる拡散もここに含まれるため、ホットエントリーによる拡散が起きれば、この割合はより大きくなる。
H28/4/14~H28/4/30までの流入割合及びPV数。
PV数が2倍以上になったにも関わらず、ソーシャルの割合が大きく下がっていることがおわかり頂けるだろうか。これは返報性ブックマークが減ったことによる割合減少及びアクセス流入が増えたことが要因だ。
はてなブックマークに頼らずともPV数を伸ばすことは十分に可能であることを示している、ともいえる。
以前はブックマーカーが減ると気を揉むことが多かったが、最近ではほとんど気にならなくなったのは今回で示したデータによるところが大きい。検索流入が増えれば、精神的にも安定した運営が可能ということ。
まとめ
- はてなブックマークには返報性がある
- ブクマが付きやすいサイトは他所でブックマークを付ける数が多いように見える
- 返報性を営業活動として悪用しているかどうかは客観的にわからない
- 返報性など利用しなくてもPV数は伸ばせる
挨拶代わりのような使い方をしていても、規約の範囲内であればそれはブックマーカーの自由であり、悪と断じることはできないというのが持論。だからといって、自分がそのような使い方をしようとは思わないけれどもね。
規約の範囲内であれば、自由に利用して構わないのではないかな。例えそれが営業活動であろうが、気軽なブックマークであろうが、良し悪しを判断する材料などどこにもないのであるよ。