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イラク、シーア派デモ隊が議会突入 非常事態宣言

2016/5/1 0:39 (2016/5/1 1:12更新)
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 【イスタンブール=佐野彰洋】イラクの首都バグダッドで30日、イスラム教シーア派の指導者サドル師の支持者らが政治改革の遅れに抗議し、政府施設や各国大使館が集まる旧米軍管理区域(グリーンゾーン)内に突入した。一部が連邦議会議事堂になだれ込み、本会議場を占拠した。イラク治安当局は非常事態宣言を出し、デモ隊に対して催涙ガスなどで対抗した。

議会議事堂になだれ込んだサドル師支持者(30日、バグダッド)=ロイター
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議会議事堂になだれ込んだサドル師支持者(30日、バグダッド)=ロイター

 ロイター通信によると、デモ隊が突入した際、警備側との間で目立った衝突はなかった。サドル氏は同日、中部ナジャフで演説し、内閣改造案審議の遅れを非難していた。デモ隊の突入はその直後に起きたもようだ。

 イラクでは人口で多数派を占めるシーア派のアバディ政権に対し、汚職の横行などに対する批判が根強い。特に2015年夏に停電が頻発して国民の不満が急速に高まっていた。政権に協力する立場だったサドル師は今年に入って、アバディ政権に内閣改造をすることを求めていた。

 2014年9月にマリキ政権を引き継いで発足したアバディ首相は内閣の改造を目指しているが、議会内の反発から手続きが進んでいない。このためサドル師が圧力をかけるため、実力行使に出たとみられる。

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 グリーンゾーンは、バグダッド中心部のチグリス川西岸にある旧米軍管理区域。米国大使館のほかイラクの省庁や国会などの中枢機関がある。チェックポイントが多くあるなど警備が厳重なことで知られる。このグリーンゾーンを多数のデモ隊が突破するのは異例で、同国の混迷を浮き彫りにした。

 イラクでは過激派組織「イスラム国」(IS)が台頭するなど、治安面に課題を抱えるが、根深い宗派対立を抱え効果的な対策が採れないでいる。

 米国はISの力をそぐため、アバディ政権と協力する姿勢を示している。カーター国防長官は18日、バグダッドを訪れアバディ首相と会談。ISの掃討支援へ米軍をイラクに増派することで合意したほか、4月にバイデン副大統領とケリー国務長官もイラク入りしている。

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