「ずっと平和が」新成人25人に手紙 長野
戦没画学生慰霊美術館「無言館」で成人式
第二次世界大戦で戦死した画学生ら108人の自画像や手紙など約700点が並ぶ長野県上田市古安曽の戦没画学生慰霊美術館「無言館」で29日、成人式が開かれた。全国から参加した20歳前後の25人が、女優の樹木希林さん(73)から一人一人に宛てられた直筆の手紙を受け取った。
参加者は「小説家になりたい」といった将来の夢や座右の銘を司会者から紹介され、樹木さんから直接手紙を受け取った。
樹木さんは講演で「私は73歳だけれど、戦争を体験していない。大変だったことを知らない。戦争の記憶が薄れていく人が増えるとまた戦争が繰り返されるのではないか」と新成人らに反戦を訴えた。講演後は「平和がずっと続いてほしいけれど……」と目を落とした。学徒出陣(1943年)があった国立競技場のケヤキで作られたコカリナの演奏などが終わると、参加者は樹木さんらと昼食を共にした。
大学2年の荒井晃一郎さん(20)=東京都町田市=は「樹木さんからの手紙に『笑って生きろ』と言われている気がします。一生の宝物です」と笑顔を見せた。樹木さんの講演を聞いて、軽井沢町出身の大学1年、水沢涼香さん(20)=横浜市金沢区=は「私も樹木さんと同じく戦争を経験していない。だからこそ、この先、亡くなった人の思いを受け継いでいかなければ」と語った。【安元久美子】