見る人に伝えたい情報を伝えてこそのポスター。情報を正確に伝えるためには、よりシンプルに仕上げる必要があります。「誰に」「何を」伝えたいのかによって、デザイン面をシンプルにするのか、配色面をシンプルにするのかを考え、伝えたい情報に沿って表現方法を変えていくことが大切です。伝える対象や内容を整理してからポスターの制作を進めていきましょう。
ポスターを制作する際のシンプルなデザインとは?
ポスターに求められるのは視認性といわれています。駅の構内を歩いていた時にフッと目に入る、どこかのカフェでくつろいでいたときに目を奪われる、それだけでポスターは広告効果を期待できます。多くの装飾がほどこされた過剰なデザインより、必要な情報と不必要な情報をふるいにかけたシンプルなデザインの方が、アイキャッチに優れているのです。
では、ポスターにおいてシンプルなデザインとは何でしょうか。
ポスターは、雑誌やCM、チラシとは違い、情報を得るには物理的な距離があります。遠くから見てもどんな内容なのか、何を訴えたいのかが分かるようなデザインであることが好ましいでしょう。
制作する際は、ついパソコンの画面を食い入るように見てしまいがちですが、少し手を止めて画面から離れ、制作物を見てみるとまた違った印象を感じることもあります。印刷したものを壁などに貼り付け、離れて見てみても良いかもしれません。そのように少しでも実際にポスターが使われている状況を意識してみるだけで、何が必要な情報で、何を削ることができるのかを判断しやすくなるため、シンプルなポスター制作に役立ちます。
ポスターにメッセージ要素を加える
ポスターは、メッセージ性の強い情報を伝えるということに秀でています。読ませるよりも見せる力が強いため、人の心に強い印象を残すような使い方としても選ばれる媒体です。
一枚絵でインパクトを出すため大胆な構図で目を引いたり、文字を極限まで減らし統一されたトーンで抽象的なデザインをほどこしたり、写真を背景と同化させ文字を目立たせるなど、手法はさまざまです。
ポスターにメッセージ要素を加えるには、伝えたいことのキーになる部分を見極め、大胆なほどにクローズアップさせることが重要になります。何を表現すれば意図が伝わるのか、一度考えてみるといいかもしれません。
デザインを無駄にしない配色のコツとは?
デザインにとって色選びは大切なプロセスです。色が人に与える印象は大きいといわれています。
配色に統一性をもたせることで、ポスターのデザインにまとまりが生まれやすくなります。色選びは3色を基本とし、メインで使用したい色6割、メインと似ている色3割、差し色1割で構成するとキレイにまとめることができます。
「色」は学ぶとキリがないくらい奥深いものですが、簡単に色合いのテーマを決める方法もあります。情報を届けたい対象にマッチするような色を選ぶには、その対象に向けて販売しているものを参考にするのが一番手っ取り早いのです。
例えば、少し大人向けのチョコレートなどのお菓子は、高級感を演出するためネイビー・ゴールドの色を使用することが多いです。他にも、品のある女性をターゲットにした化粧品や基礎化粧品などは、ラベンダーのような薄紫やパステルカラーの薄水色など淡く清潔感がある色を使用することが多いそうです。よく髪は女の命とも言われていますが、おしゃれに気を使う女性に向けたシャンプーなどでは、発色のよい赤やピンクが多く使われます。誰に届けたい情報なのかを明確にし、配色を決める前に、クライアントのイメージしているものをしっかりすり合わせた上で、決めていきましょう。
ポスターを見る人をイメージする
広告での基本となりますが、まず誰に情報を届けたいのかを明確にする必要があります。どういったターゲットに向けて情報を発信したいのか、クライアントと擦り合わせておきましょう。
例えば、子供用のスクール生募集ポスターなら、ポップな配色をしつつもキレイに整頓された構成で真面目な部分を演出するデザイン。女性向けのフィットネス広告であれば、清潔感漂う白や水色などを使い、自分と重ね合わせられるような女性モデルを起用するのも一つの手です。実際にポスターを見る人をイメージし、何を伝えたいか考えることで、ポスターの方向性を決めましょう。
数多く存在するポスターの中から1つのポスターを目立たせ印象に残させることはなかなか難しいものです。今回ご紹介した3つのコツをしっかりと盛り込んで、ポスターを制作すれば、グッとその結果が表れやすくなるでしょう。インパクトばかりを重視するのではなく細部のデザインまでこだわれる繊細な努力もしていきましょう。