韓国の大企業は、なぜ栄枯盛衰が激しいのか

「大規模企業集団」30年の歴史を振り返る

サムスンの売上高と株式時価総額を見ると、1986年当時と比べてそれぞれ32倍、33倍にふくれあがった。2012年には韓国企業で初めて売上高300兆ウォン(約30兆円)を突破、韓国証券取引市場全体の時価総額の4分の1を占める大企業に躍り出た。

かつて、自動車産業に参入する際に苦杯をなめたものの、半導体や家電、携帯電話を主事業として競争力を維持している。もちろん、韓国を代表する世界企業であり、「SAMSUNG」ブランドは世界で浸透した。

現代グループは分裂が奏功

1986年当時韓国トップ企業だった現代グループは、オーナー一族の権力継承の過程で現代自動車グループ、現代重工業グループ、現代グループに分裂した。しかし、分割される前と比べると、現代自動車グループの規模は5倍以上に拡大した。自動車業界において、現代自動車は韓国国内でライバルのいない圧倒的強者である。世界市場でも5〜6位をキープ。品質とブランド面でもグローバル企業の地位を獲得した。現代重工業はこの数年続く造船不況のあおりを受けているが、それでも財界で10位に入っている。

現代グループのように分離した企業集団はほかにもある。LGから分裂したGSだ。LGは6位、GSは9位に付けている。LGは電子と化学、GSはエネルギーと流通業界で確固たる地位を築いた。

1986年には10位だったSK(当時は鮮京、ソンギョン)は、2005年に3位へ上昇した後、10年間その座を守っている。資産規模、売上高、時価総額とも当時より10倍以上増えており、大企業集団の中では、サムスンに次ぐ成長を見せた。1970年代初頭に精油事業を始め、この分野でトップ企業にまで成長した後、1994年に移動体通信事業を開始、携帯電話ではトップシェアとなっている。2012年には半導体メーカーのハイニクスを買収して新領域への挑戦を新たに始めた。

ロッテグループは、1986年当時に大企業集団に名前がなかったことが、今となっては奇異に感じられる。1986年当時16位だった斗山(ドゥサン)グループは、30年経った今でも同じ位置にいる。

1986年当時に財界5、6位だった国際(クッチェ)グループと双龍(サンヨン)グループは、共に歴史から消えた。1985年に当時の全斗煥政権によって事実上解体された国際グループは、翌86年12月に韓一(ハニル)グループに吸収された。なぜ国際グループが解体されたのか、その過程は今でも謎として残されている。

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