公正取引委員会から処分を受けた「朝日新聞」の部数水増し エース記者による内部告発も

デイリー新潮 / 2016年5月1日 4時0分

 しかし、と、先の店主が続ける。

「景気の低迷と、インターネット広告の出現によって、折込チラシの量はこれまでの半分程度にまで落ち込んでいる地域もある。こうなると、水増し分が重荷になりますから、今では切れるものなら切りたいと思っている店主がほとんどです」

 一方の本社側は、注文部数を「言い値」で減らされては、ABC部数は下がる一方だから、あの手この手でその要求をかわしてきた。ところが、今回の公取の「注意」で、それも出来にくくなりそうなのだ。

 仮に、である。

 販売店主たちがすべての水増し分のカットを要求し、朝日がそれにすべて応じたとしよう。先ほど述べたように、部数は3割減少する。朝日の収入のうち、部数に連動する「販売+広告収入」の割合は9割(2016年採用HPより)。その3割が消えると収入の約27%が一気に吹っ飛ぶことになる。背筋が寒くなる数字である。

「今回の公取の調査が始まったのは、昨年の秋からですが――」

 と言うのは、先の店主。

「その調査が進んでいた昨年12月、本社は補助金制度を改定しました。これまで1部当たり300~800円程度販売店に出していた補助金を、総額こそ変わりませんが、ある一定の部数より上の部数についてのみ1部1500円出すことにしたのです。逆に言えば、我々は紙を1部切る度に、これまで300~800円程度だったマイナスが、1500円になることになる。僕らの間では、今回の処分を見越して、店主が紙を切れなくなるよう、予防線を張られたと捉えています」

 しかし、こうしたマイナスがあったとしても、水増し分の部数を抱えるデメリットの方が大きく、部数返上の流れは止まらないと、この店主氏は言うのである。

「特集 『エース記者』『販売店主』内部告発!『朝日新聞』部数水増し3割で『大新聞』の明日」より

「週刊新潮」2016年4月28日号 掲載

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