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【主張】単純労働者の容認 社会コストどう負うのか

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【主張】
単純労働者の容認 社会コストどう負うのか

 最も懸念されるのは、政府が永住権取得を簡単にする「日本版高度外国人材グリーンカード」構想を性急に実現しようとしている点だ。安倍晋三首相は永住権取得までの在留期間を「世界最短にする」と力説している。

 「高度人材」と「単純労働者」の区分けをなくした場合、職種にかかわらず、短い在留期間で永住権を与えるのだろうか。もっと丁寧な議論と説明が必要だ。

 企業側には外国人を「若くて安い労働力」と期待する傾向が強かった。だが、「高齢になる前に母国に帰ってもらえばよい」といった都合のいい考え方など、そもそも通用しなくなる。永住者の老後には、行政上の責任が生じることを忘れてはならない。

 低年金や無年金の永住者は増えないだろうか。すべてを生活保護で対応するとなれば、国家財政への影響は計り知れない。子供の教育環境の整備も求められる。

 特命委は「受け入れ枠」の設定に言及しているが、永住者は職業を自由に選べる。転職者が相次げば人手不足の「穴埋め」にはならず、日本人との競合も生じる。将来へのコストも含めた、多角的な視点からの議論が欠かせない。

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