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【主張】
単純労働者の容認 社会コストどう負うのか
外国人労働者の大量受け入れは、それに伴う社会コストの増大など将来にわたる影響も踏まえて判断すべき政策だ。
目先の労働力を確保するため、「受け入れありき」で結論を出す愚を冒してはなるまい。
自民党の「労働力確保に関する特命委員会」がまとめた提言案は、原則として学者や技術者などの「高度人材」しか認めてこなかった現状を改め、単純労働者の受け入れを容認するよう求めている。
介護や農業など人手が足りない分野について「個別に精査して受け入れを進めていくべきだ」と踏み込んだ。単純労働者という用語そのものもなくせという。
外国人にも開かれた国家という価値観は重要だ。しかし、欧米での移民問題をめぐる混乱をみれば、受け入れが大きな困難を伴うことは明らかだろう。
提言案の作成過程で、将来に及ぼす影響が十分議論された形跡はみられず、特命委でも「なぜ日本が欧米の後追いでやるのか」といった疑問や異論が残っている。
「共生の時代」という聞こえのよい言葉を使っただけでは済まされない課題が山積している。