砂や小麦粉といった粉体を積み上げていったとき、自発的に崩れることなく安定を保つ斜面の最大角度を「安息角」と呼ぶ。2013年に多摩美術大学と八王子市とのコラボレーションで始まった、この「多摩美の音楽実験室」も4年目に入り、多くの新しい学生が、新しい試みに挑戦し、さまざまな形式や内容による作品が堆積してきた。
しかし、捨石の集積場であるボタ山が、積み上がっていけばいくほど、次第に崩壊の危険性を孕んでいくように、堆積するものは、やがては必ず崩れていき周囲に分散していく。多摩美の音楽実験室の安息角は、果たしてどのくらいなのか。そして今年のイベントの最中に、その角度に達するのかどうか。
結果がわからないからこそ挑戦するための場ーそれこそが、実験室の最大の存在意義である。
多摩美術大学 メディア芸術コース教授 久保田晃弘
東京在住の音楽家2人(佐藤公俊+朝倉卓也)による電子音楽セッション。