「最大余震」に大分県が見舞われた。29日に由布市北部を震源として発生した震度5強の地震。これまで熊本地震の余震は、熊本県内の日奈久断層帯や布田川(ふたがわ)断層帯が中心だったが、今回は大分県中部地方を走る別府-万年山(はねやま)断層帯が震源とみられ、熊本地震の影響が広範囲に及んでいることをあらためて示した。複数の断層帯がひしめく九州。専門家は「連鎖はしばらく続く」との見方を強めている。
<写真>水前寺公園の池が干上がる 熊本地震の影響か
気象庁によると、熊本地震で千回を超える地震(震度1以上)の震源は、これまで熊本地方と阿蘇地方が中心で、大分県中部地方は比較的少なく、規模も小さかった。ただ、このエリアには阿蘇地方と隣接する別府-万年山断層帯があり、16日の本震後、大分県中部地方を震源とする震度3以上の余震が36回観測されている。
今回の地震についても、九州大地震火山観測研究センターの清水洋センター長(地震火山学)は「熊本地震の前震や本震から誘発されて起きた」と指摘する。
別府-万年山断層帯の特徴は、多くの断層がひしめき合っている点。一つ一つの断層は短いが、福岡管区気象台の石原和彦地震情報官は「今回は震源の深さが7キロと非常に浅い地震だったため、大きな揺れとなった」とみている。
一方、同断層帯は大分県東部の鶴見岳や別府湾の海底にも連なり「地下深くでつながっている」と指摘する専門家もいる。今回の地震の規模はマグニチュード(M)4・5だったが、清水センター長は「本格的に動けば、M7級の地震を引き起こす恐れもある」として警戒を呼び掛けている。
=2016/04/30付 西日本新聞朝刊=
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