野球賭博事件「ハンデ表ネットで入手」暴力団の存在は

プロ野球の野球賭博事件で、巨人の元投手とともに逮捕された男が、賭けに使う「ハンデ表」について「インターネットの専用サイトで入手した」と元投手に説明していたことが関係者への取材で分かりました。警視庁は、サイトの運営実態を調べるとともに、背後に暴力団の存在がないか捜査することにしています。
この事件は、巨人の元投手の笠原将生容疑者(25)と、知り合いで自称・無職の斉藤聡容疑者(38)が、巨人のほかの2人の元投手の野球賭博に関わった疑いで逮捕されたものです。
これまでの調べで、笠原元投手は、試合によってチームごとに差をつけた「ハンデ表」をもとに、2人の元投手にハンデを教えて賭けを仲介していたことが分かっています。
このハンデ表について、賭博を開いたとされる斉藤容疑者は「インターネットの専用サイトで入手した」と笠原元投手に説明していたことが関係者への取材で分かりました。このサイトは、会員になるとプロ野球の試合ごとのハンデ表を見ることができ、その内容を斉藤容疑者は携帯電話のメールなどで笠原元投手に送っていたということです。
警視庁は、サイトの運営実態を調べるとともに、背後に暴力団の存在がないか捜査することにしています。

「ハンデ表」とは

野球賭博で使われる「ハンデ表」とは、プロ野球や高校野球の試合ごとに対戦するチームのそのときの成績や調子に応じてつけられたハンデを一覧にしたものです。
例えば、弱いチームのハンデが「2」の場合、あらかじめ弱いチームに2点が加算された状態になり、強いチームは3点以上引き離して勝たないと勝ったことになりません。賭けの参加者は、このハンデ表を元に勝敗を予想する仕組みで、単純に試合の勝ち負けを予想するのではないため、ゲーム性が高いとされています。
捜査関係者や賭博に詳しい関係者によりますと、このハンデ表は、「ハンデ師」と呼ばれる人物が作成し、「胴元」と呼ばれる賭博の主催者がハンデを参加者にメールや口頭で伝えるということです。
警察の摘発で紙に書かれたハンデ表が押収されるケースがありますが、最近ではハンデ表を見ることができる会員制のサイトも複数存在しているということです。
捜査関係者によりますと、野球賭博では、こうしたハンデ表を準備したうえで、一定規模の参加者を集める必要があるため、暴力団が組織的に関与するケースが多いということです。警視庁は、今回の事件の背後に暴力団の存在がないか実態の解明を進めることにしています。

笠原容疑者「サイトの存在を聞いた」

巨人の元投手、笠原将生容疑者は、一緒に逮捕された斉藤聡容疑者から「『プロ野球や高校野球のハンデが出るサイトがある』と聞いた」と逮捕前のNHKのインタビューに答えていました。
笠原元投手は、3年前の平成25年に斉藤容疑者と知り合い、それ以降、食事をしたり、金銭を賭けてマージャンをしたりするうちに野球賭博の話をするようになったということです。そして笠原元投手は斉藤容疑者から「『プロ野球や高校野球のハンデが出るサイトがある』と聞いた。そのハンデを見せてもらって『じゃあ、これで行くか』と言って、賭けをしていた」と話しました。
このハンデ表について、笠原元投手は斉藤容疑者の携帯電話で見たりしたほか、「自分の携帯電話にメールで送られてくることもあった」と話していました。さらに笠原元投手は、松本竜也元投手や高木京介元投手に対して、「2人にハンデの話はしていた。『きょう、どうなってるの』と聞かれたら教えていた」と、ほかの元投手との賭けのやりとりを明かしていました。

松本元投手「メールなどでハンデ表」

野球賭博に関与したとして無期失格処分となった巨人の松本竜也元投手は、NHKのインタビュー取材で、逮捕された笠原将生元投手から「賭けに使うハンデ表を携帯電話のメールで回してもらったり直接見せてもらったりした」と語っていました。
そのうえで、松本元投手は、「練習後のロッカールームでゆっくりしているときに、笠原元投手とのアイコンタクトで、きょうの試合に賭けよう、などと合図していた」と話しました。そして、どの試合にいくら賭けるのか、賭け金のやりとりは、ロッカールームや飲食店で笠原元投手を介して行われていたということです。
松本元投手は1試合当たり多いときで「30万円ぐらいを賭けた」と話していました。