野球賭博、背後に暴力団が関与していた疑い

元巨人の笠原将生容疑者ら逮捕

逮捕され、羽田空港に到着した笠原容疑者(中央、29日午後4時4分、羽田空港で)=関口寛人撮影

プロ野球・読売巨人軍の選手による野球賭博問題で、警視庁は29日、元飲食店経営・斉藤聡容疑者(38)(福岡市中央区春吉)を賭博開帳図利(とり)容疑で、元巨人軍投手・笠原将生(しょうき)容疑者(25)(同市東区香住ヶ丘)を同ほう助容疑で逮捕した。

他の選手を野球賭博に引き込んだ笠原容疑者を賭博の主宰者側だと認定し、逮捕に踏み切った。同庁は2人の背後に暴力団が関与していた疑いがあるとみて、資金の流れの解明を進める。

発表によると、斉藤容疑者は2014年3月~昨年8月、プロ野球や全国高校野球選手権の計15試合で、笠原容疑者ら巨人軍の元投手3人から賭け金を徴収し、対象チームの実力差を調整して勝敗を予想する「ハンデ戦」と呼ばれる賭博を開帳した疑い。

笠原容疑者は14年5月~昨年3月、プロ野球の計10試合で、巨人軍の元選手2人に賭博のルール説明や、申し込みの仲介、賭け金の集金を行い、賭博開帳をほう助した疑い。巨人戦は賭けの対象に含まれていなかった。捜査関係者によると、笠原容疑者が仲介をした2選手は、松本竜也元投手(23)と高木京介元投手(26)。

調べに対し、斉藤容疑者は「わかりました」、笠原容疑者は「間違いありません」といずれも容疑を認めているという。

賭博問題発覚後の昨年10月、巨人軍は日本プロフェッショナル野球組織(NPB)に告発する一方で、同庁にも相談した。同庁は、笠原容疑者から任意で事情を聞くとともに、携帯電話のメールを復元するなど捜査を開始。笠原容疑者が自ら賭博をしただけでなく、斉藤容疑者から聞いたハンデを松本、高木両元選手に伝え、精算の手伝いをしていたことなどが裏付けられた。同庁は、これらの行為は賭博客の範囲を超え、賭博開帳図利のほう助にあたると判断した。

笠原容疑者は昨年11月、NPBから無期失格処分を受け、斉藤容疑者はNPBの調査委員会から「野球賭博常習者」と認定された。その後、笠原容疑者は斉藤容疑者の助けを借りて故郷の福岡市に飲食店を開き、2人は同市内で逮捕された。

野球賭博を巡っては、笠原容疑者と福田聡志元投手(32)の野球賭博の相手だった大学院生のルートについても、同庁が賭博開帳図利容疑などで捜査を進めている。福田、松本、高木の元選手3人については、賭博の仲介などをしていた形跡はなく、賭博容疑での書類送検になる見通し。

巨人軍は「斉藤、笠原両容疑者が当球団内部で野球賭博の勧誘を行っていた実態が解明されるよう、今後も警視庁の捜査には全面的に協力していく所存です」とのコメントを発表した。

賭博開帳図利/賭博をする者から手数料などの利益を得る目的で、賭博の主宰者となって場所や設備を提供した場合に適用される罪。自らが賭け事をする「賭博罪」とは刑法の条文が異なり、博徒を集めて利益を図る「博徒結合罪」と同様に反社会性の強い犯罪とされる。法定刑も、賭博罪が50万円以下の罰金または科料であるのに対し、賭博開帳図利罪は3月以上5年以下の懲役と重い。電話で客から賭けの申し込みなどを受ける場合も、同罪は成立する。

 

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