ボウイさん、京都で見せた素顔 私的写真100枚残る
今年1月に亡くなった英国の人気ロック歌手デビッド・ボウイ氏が、新婚旅行で1990年代初めに京都市を訪れた際の写真を含む京都での私的写真約100枚が残されていた。ボウイ氏の私的写真は珍しい。妻と寺院で座禅し、夜に祇園祭の山鉾を見物する。京都の伝統文化に浸る姿とともに、庭木に登って笑う飾らない一面も見せ、世界的スターの素顔がのぞく。
写真は1970年代から90年代半ばに撮影されたとみられる。90年代初めの新婚旅行の写真は、アフリカ・ソマリア出身のスーパーモデルで女優のイマンさんと2人で京都を訪れた際に撮られた。
当時、ボウイ氏が敬愛する東洋美術家の故ディヴィッド・キッド氏が九条山の邸宅「桃源洞」(山科区)で暮らしていた。キッド氏の指示でキャデラックの運転役としてボウイ夫妻を案内した松家靖さん(59)=東京都=は「2人は後部座席で終始、物静かな様子だった。京都の空気を真摯(しんし)に吸収しようとしているようだった」と振り返る。
ボウイ氏は旅行先のタイからキッド氏に京都訪問を知らせ、桃源洞にも滞在したという。「ボウイ氏が車中の灰皿に残したマルボロの吸い殻は記念に残した」と懐かしむ。写真には寺院でポーズを取るボウイ氏のほか、桃源洞でボウイ氏の衣装をデザインした山本寛斎さんらと談笑する様子も収められている。
写真はキッド氏の関係者が撮影していた。関係者によると、写真はキッド氏の死後、桃源洞でともに暮らした森本康義氏が保管していたが、森本氏が昨年夏に亡くなる直前に旧知の美容室経営、森田俊明さん(68)=中京区=に託したという。森田さんは、イベント企画を手掛ける「京都総合研究所」(下京区)に写真の活用法を相談。1月にボウイ氏が亡くなり、世界的ロックスターに再び注目が集まる中、同研究所が写真展など追悼行事を構想している。
【 2016年04月29日 13時27分 】