10年前の今頃は、一時の幸せを感じていたっけ。


 当時の俺は、4月から障害者職業訓練施設に通ってた。

 そこで1週間もしないうちに、NTさんという女の子(俺と同じ障害者)を好きになった。

 
 4月中旬のことだ。

 昼飯の時、食堂でひとり飯を食ってると、NTさんが「イェイ」と挨拶して俺の向かいに座ってくれた。

 最高に嬉しかった。

 これで俺の心に火がついた。

 乃木坂46の「君の名は希望」の歌詞の男は、ボールを拾うのを、女の子がこっちを向いて待っていただけでコロっといってしまったが、まさにそれといい勝負だ。

 (ちなみに、出会い系サークルで、Aさんを意識するようになったきっかけも、2回目の例会の時、Aさんが「あ、こんにちは^^」って挨拶してくれたことだった。「僕のこと覚えてくれたんだ・・・」って。まさに「♪透明人間そう呼ばれてた僕の存在気づいてくれた」と一緒だな)

 

 たまたまその前日の日曜日、当時ボランティアをしていた某NGOの総会が東京であって、
俺は生まれてはじめてそのNGOの経費で東京に「出張」なるものをして、帰り、秋葉原のメイド喫茶へ行ったのだった。

 その時のことを彼女に話していたら、不思議と話題は尽きなかった。

 何と昼休み1時間のうち、40分も(!)食堂でトークしてた。 (10年前の俺にはそれだけのトーク力があったんだな・・・今では考えられない)


 若い女の先生が、「なんかふたりすごい楽しそう^^」と微笑みながら通り過ぎっていった。


 最高に楽しい40分だった。


 NTさんとの楽しい関係は4月いっぱい続いた。

 だから、10年前の4月29日はちょっと幸せな気持ちだったのだ。


 ちなみに、その頃、俺は「オシャレ」化計画を実行していた。(これはmixiに書いたので旧ブログには書けていなかった)


 オシャレな服屋で、店員に選んでもらって、数万円の服を何着か買った。

 美容院にも行った。メガネのフレームも当時のオシャレなのに変えた。


 10年前の今日、俺は、美容院で購入した何たらクリームでセットした頭で、数万円のオシャレ服に身を包み、繁華街を歩いていた。もちろん「ひとりぼっちで」だけど、でも、ちょっと幸せ気分だった。


 5月に入ると↓のようになることも知らずに・・・。
  
 
 GW明け直後からNTさんの態度は急激にそっけなくなった。

 そして、俺が心の底から嫌いだったチャラ男とどんどん仲良くなっていった。(その後、NTさんとチャラ男が放課後一緒にバスに乗ってどこかへ行く姿を見せつけられるなど、数多くのショックな出来事を目撃することになる)

 俺は、チャラ男とNTさんが仲良くする姿に耐えられず、職業訓練施設に行けなくなっていった。

 1ヶ月後の5月31日には俺はこう思ったものだ。「先月の今頃は、こんな苦しく辛い状況になるなんて夢にも思ってなかった・・・ここまで状況が劇的に変わるとは!」。


 6月のことだ。俺は意を決して、「NTさんと仲良くしたいです。よかったらメールアドレス教えてください」という手紙を渡した。 しかし・・・応答はなかった。

 ある日、NTさんが食堂でひとりで飯を食ってたので、ここぞとばかり向いに座った。

 が、NTさんは食い終わると、「じゃあ、行くわ」と言って、さっさと出ていってしまった。


 また数日たったある日、俺がひとり食堂で飯を食ってると、NTさんが入ってきた。

 しかし、NTさんは俺の向かいではなく、はるか離れたところにいたチャラ男の向かいに座った。

 もはや俺に対してほとんど笑うことがなくなった彼女は、はじけたように笑って楽しそうにあいつと飯を食っていた。

 ほどなくして俺は某職業訓練施設をやめたのだった。


 
 

「電脳山荘殺人事件」ファイル1。
http://video.fc2.com/ja/content/20130717rMkdgNQT/

16分50秒あたりから。

 俺も部屋でいつもこの時の僧正のように、過去のいろんな屈辱体験を回想しては怒りでこぶしを固く握っている。
 

 バックにうつっている薄ら笑いを浮かべる同僚。

 僧正がそいつら見返す、あるいは、薄ら笑いを浮かべた同僚が不幸になるところが見たかった。

 しかし、殺人事件の被害者になり、不幸になったのは僧正の方。

 そして、同僚たちは、こう言って、僧正をさらに嘲笑ったことだろう。

 「あいつ殺されたんだってね」
 「チャットで計画殺人して、人殺したんだってね」
 「うわ~、陰湿すぎ・・・」「まさか、人殺しやってたとわな」
 「なんかね、年商500億の社長とか嘘ついてたらしいよ」
 「うわ~、コンプレックスって怖いよねw」
 「HN『僧正』って名乗ってたらしいよ」
 「『僧正』って・・・ww センスなさすぎw」


 

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