【書評】座らない! 成果を出し続ける人の健康習慣 〜食べる・動く・眠る 自分の生活習慣を見なおすための参考書

座らない! 成果を出し続ける人の健康習慣 表紙

体調を良い状態にたもつことが、仕事でも私生活でも効率的かつ楽しく過ごすための一番の基本! 私は最近、どちらかというと仕事効率化より前の段階 — 身体の管理の方に強く関心が向いています。そんな体調管理に関する書籍の1つ『座らない! 成果を出し続ける人の健康習慣』を今回は紹介します。

翻訳されたタイトルだけを見ると「座りすぎを改善しよう」みたいな内容の本に誤解してしまいますよね。でも実は、原題が”Eat Moves Sleep” — 「食べる・動く・眠る」という生活の3つ要素を統合して、どれもバランスよく改善していこうという内容が特に新しい提案なんです。個人的にうなずける事も多く、生活に取り入れていきたいアイデアをいくつも吸収しましたよ!

本書の著者トム・ラスさんは、米国ベストセラー『StrengthsFinder 2.0』(日本語未訳)などビジネス書関係メインで活躍している方です。米ギャラップ社で長年コンサルタントを務め、ストレングス・ファインダー開発に関わっているそうですよ。

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「食べる、動く、眠る」の3つの要素に同時に取り組む

健康的な朝食で一日のスタートを切ります。すると、それから何時間も活動的でいられます。何時間も活動的でいると、今度は一日中健康的に食べられます。一日中健康的に食べて活動的にしていれば、夜になってぐっすり眠れるはずです。

「そのとおり!」と実感している自分の経験が多々あります。例えば、

  1. 日中に1日1万歩あるく、スクワットを習慣化していった
  2. 8時間近く眠り、しかも深い睡眠の時間が長くなった
  3. 疲れがとれるので、日中ずっと頭が冴えるし活動的になった
  4. 栄養バランスに気を使うようになった
  5. 体重・体脂肪率が激減し、より活動的な生活になった

…というように、食べる・動く・眠るは本当に相互に関係していることを感じます。

本書ではテーマに合わせてそれぞれの要素について研究の裏付けがある3つのエピソードを紹介しています。例えば『しゃきっとする』というテーマについては「高脂肪食は仕事の敵」、「学んだ後での運動で記憶が定着」、「規則的な運動は睡眠薬より効果的」の3つがセットという構成。そうして生活の3つの要素を改善し正のサイクルを作っていこうと、まとめられています。

「座らない!」の中で、私が関心を持った内容・エピソードをご紹介

それでは本書で気になったところを、私の読書ノートをベースにご紹介していくことにします。

一流のプロほど平均睡眠時間が長いという調査結果

まず、一流のプロは偉大になるために1万時間に及ぶ練習を必要としているという1万時間の法則を発見したフロリダ州立大学教授のK・アンダース・エリクソン氏のもう1つの発見について。

人間がピーク時に発揮する能力に睡眠は大きな影響を与えています。エリクソンの研究によれば、一流のプロは平均で1日当たり8時間36分眠ります。それに対し、平均的なアメリカ人は平日に6時間51分しか眠っていません。

私のような凡人がもし睡眠不足なら、それはヒドいことになるのは当然というワケですね(涙)仕事を片付けたいなら、睡眠時間は削るものではなく、死守するもの — 頭ではわかっていますが、印象的な調査結果です。

腹が出ていては眠れない!ダイエットと睡眠の関係

太れば太るほど熟睡は難しい。太り過ぎや肥満症だと夜間に熟睡できないばかりか、昼間に眠くなったり活力を引き出せなかったりします。

ジョンズ・ホブキンス大学の研究によれば、[中略]腹部脂肪を減らすと睡眠改善の点で特に大きな効果を得られます。

中年太りなお腹は見た目が悪いだけではなく睡眠不足を誘発する点は注目。私は「とても深く眠れるようになること」を、15kg以上減のダイエットをし、食生活改善をする中でしみじみ体感しています。

本書でも触れられていますが「良質な睡眠が、減量に効果的」というのもよく知られています。減量と睡眠は密接に関係しており、同時進行が効果的です。

病気になりたくなければ睡眠時間の確保が大事!

風邪に効くワクチンがついに開発されたというニュースを聞いたら?そのワクチンは「十分な睡眠」かもしれません。それを示唆する実験があるのです。[中略]
睡眠時間が平均7時間を下回った被験者は、十分に睡眠を取った被験者と比べて3倍近い確率で風邪をひいたのです。

ちゃんと睡眠をとることで、風邪になりにくくなる…大事です。ありがたいことに、睡眠の質にこだわっているせいか、私はここ1年ほど風邪にかかっていません。病気になってしまったら、仕事効率化も何もあったものではないですからね。

個人的に良質の睡眠にこだわるようにしているためか、睡眠関係の事ばかりに(汗)。もちろん本書はそれだけじゃないんですけどね。特に邦題にもなっている「座らない」 — 座ってばかりなスタイルへの警鐘が多く出てきます。次のセクションでちょっと紹介しましょう。

座ってばかりはかなりヤバい! 座りすぎライフスタイルは本気で要改善

座るという行為は、現代社会で最も見過ごされがちな健康リスクです。これは目に見えない疫病と同じであり、私たちの健康をむしばんでいます。

1日6時間以上座ると、早死にするリスクが大きく高まります。どんなに運動しても、どんなに健康的に食べても、どんなに禁煙しても、過剰に座る習慣を改めない限りは健康問題を誘発します。

これは全然大げさではないですよね。本気で留意しなくてはいけないことです。最近は『エコノミー症候群』も広く認知され、動き回れない環境で同じ姿勢で座っていることの弊害が各所で知られるようになっています。立って仕事をするスタンディングデスクもそれほど珍しい存在ではなくなりました。

著者はさらに上を言ってトレッドミルデスクを使っているようです。これはウォーキングマシーンとデスクが組み合わさったもの。米国では市販されているほか、一部の会社ではオフィス持ち込みも認めているようです。写真で見るとまだまだ奇異な感じがしますが、もし機会があるならモノは試しに1日使って、仕事を体験してみたいとは思います。

トレッドミルデスクは無理でも、フリーランスや自営業ならスタンディングデスクの導入などには、ある程度自由がきくかもしれません。でも私のような普通の会社勤めをしている人だと、よほど恵まれた会社でもない限り、社内にデスク私物を持ち込んで使うのはかなり難しいでしょう。

まず最初のステップとして、StandlandというiPhone用アプリを使ってみることをオススメします。なるべく座りっぱなしにならず、定期的に立ってあるくように、立つことのモチベーションを高めてくれるアプリです。

Standland(スタンドランド) 〜ゲームで座りすぎを解消!新感覚のiPhone用健康アプリ

2016.02.24

食事面などについては、正直な話 参考にならないこともあります。

なお、本書「座らない! 成果を出し続ける人の健康習慣」では極端な意見をピックし過ぎていると感じることや、ちょっとエリートビジネスマン向け的になりすぎて鼻につく時があります。特に食事や栄養に関して極端な傾向を感じます。例えば…

砂糖などの甘味料は毒物です。糖尿病、肥満、心臓病、がんを引き起こします。

というように、まず砂糖についてかなり極端な攻撃をしています。正直な話、読んでいる私の方が引くくらい。もしかすると米国の環境を念頭に置くとこれくらい言わなければダメ!ということなのかもしれません。

私が米国で生活していた時には、甘いお菓子はかなり危険を感じるレベルで砂糖がいてびっくりした経験もあります。本気でそれくらいの危機感を持たないと糖分摂取を減らすのが難しい側面もあるのでしょう。

ハーバード大学の研究チームは医学専門誌のアメリカ医師会誌(JAMA)の中で「炭水化物は人間にとってまったく不要の栄養素」と指摘しています。

砂糖だけでなくパンやライスなどの炭水化物摂取も否定していますね(汗)。そこまで行くと、なかなか実践できる人はわずかでしょうし、また極端な炭水化物カットなどについては他の書籍を読むと異論もあるようです。(参考:私たちは今でも進化しているのか?

食事面では私たちがすぐに取り入れるには、実情に合わないか、かなり難易度の高い内容もあります。自分の生活に取り入れる際には多少割り引いたり、取捨選択をしていくのが良いでしょうね。

最後に

以上、書籍『座らない! 成果を出し続ける人の健康習慣』についてのお話をお届けしました。この書籍は30のテーマに沿って食べる・動く・眠るに関する3つの短いエピソードが用意されており、合計90の話が掲載されています。読後感的にはライフハッカーの健康関連記事をまとめて読みまくった後みたいな感触でした。ライフスタイル改善アイデア集的なものにとらえ、いくつかを取捨選択して自分の生活に組み込んでいく…というアプローチが良いでしょうね。

また、様々な内容を書いていることから1つ1つは薄味な印象もあります。この本を入門書・カタログ的に読んだあと、気になった点は別途各分野の専門書を読んでみるとさらに理解が深まりそうです。

自分のライフスタイルを改善し、もっと健康的になり、仕事などで効率をあげていきたいと考える方、ぜひ一読してみてください。それでは!

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