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【オバマ氏の広島訪問】
「未来に目を」と米主要メディア支持 謝罪警戒の声も「本土上陸は原爆より多くの死者がでたはずだ」
【ワシントン=加納宏幸】オバマ米大統領は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)出席に合わせて広島を訪問する見通しだ。史上初めて原爆を投下した米国の現職大統領として被爆地を初訪問し、「核兵器なき世界」を訴えるのが狙いだが、米国内では議論が分かれている。主要メディアが支持する一方、原爆投下が戦争終結を早めたという正当化論の観点から慎重な意見も根強い。
オバマ政権で昨年まで外交方針の策定に当たったシャーマン前国務次官(政治担当)は最近、米CNNテレビのサイトに寄せた論評記事で「謝罪のためではなく、未来に目を向けるため過去を認めようとしている姿勢を地域の同盟国に示すことが米国の利益につながる」として、オバマ氏に広島訪問を求めた。
シャーマン氏は原爆投下により「戦争終結が早まったことで多くの米国人の命が救われたことは間違いない」としつつも、原爆投下が「多くの市民に及ぼした恐ろしい影響は否定できない」と指摘。慰安婦問題での日韓合意で、オバマ氏の広島訪問の決断は容易になったとの見方を示した。
ニューヨーク・タイムズ紙は社説で「オバマ氏が広島を訪問する最初の米大統領になることを妨げるものはない」と断言した。また、ワシントン・ポスト紙の社説は、米大統領選の共和党候補指名争いで先行するドナルド・トランプ氏(69)が日韓の核武装を容認する発言をしたことを挙げて、オバマ氏の広島訪問で「トランプ氏の向こう見ずな発言に対抗することができる」とした。