自宅で行う自重トレーニングの記事が好評だった事をうけて、”家トレ”記事の第二弾として、効率的なダンベルトレーニングをテーマに書いていく。ダンベルとベンチを用意するだけで自宅トレーニングの効率は劇的に向上する。もちろんジムに行くのがベストだが、誰しもがジムに通える訳ではない事を考えると、自宅トレーニングの方法を記事にすることにも意味があるのではないかと思う。この記事では”最も効率的なダンベルトレーニング”について4つの項目に分けて説明して行こうと思う。
ぼくの考える”効率的なトレーニング”とは見た目の改善だけではなく、強い身体を作る事が出来るということだ。この”強さ”とは力の強さと言う意味ではなく、立ちっぱなしで腰や膝が痛む、シャツを着る時に肩が痛い、そんな日常生活で感じる”痛みやツラさ”に対して強い身体を作ることで生活の質を高めるということだ。
最も効率的なダンベルトレーニングのまとめ
大きく分けるとこんな感じ。ダンベルトレーニングの特徴を理解してから、種目を動画付きで紹介して、実践的なプログラムの一例を解説していく。最後まで読めば効率的なダンベルトレーニングのポイントを掴んでもらえるのではないかと思う。
- ダンベルトレーニングの特徴
- 用意する器具のまとめ
- 効率的なダンベルトレーニング種目
- ダンベルトレーニングで構成するプログラム
1.ダンベルトレーニングの特徴
ダンベルトレーニングはバーベルに比べて扱う重量が低いことからバーベルに比べて初心者向きと思われがちだ。しかし、フォームを安定させるのが難しいのでむしろ中・上級者向けと言ってもいい。
ダンベルトレーニングのメリットとデメリット
メリット
- バーベルに比べて器具を用意するのが簡単(金銭的&スペース的に)
- バーベルと違い基本的に左右独立して保持するため狙った筋に刺激を加えやすい
- 上記の理由でスタビリティ(安定性)を高めることが可能
デメリット
- バーベルと比較して安定性に欠く(これはメリットでありデメリット)為にフォームの習得が難しい
- 漸進性過負荷の原則(後に説明)がバーベルに比べて適用しづらい
筋力向上・筋肥大の効率を考えるとやはりジム(ホームジムでも)に通い、高重量のバーベルトレーニングを行うのがベストだ。また、自宅トレーニングではモチベーションを保つのが難しいと言うデメリットもある。それでもポイントを抑えれば自宅でも効率的なトレーニングは可能だ。
2.用意する器具
ダンベルトレーニングを始めてみようと決心したら実際に必要な器具を揃えよう。必要な物はそう多くは無く、一度購入したら何年も使えるので経済的にも負担は少ない。
ダンベル
種目の幅を広げる為にも重量を変更できるタイプを購入する。2つ用意する。
ベンチ
ベンチがあるだけでダンベルトレーニングの幅は無限に広がると言っても過言ではない。フラットのベンチでも十分だが、下の商品の様に角度を変更できるタイプならさらに幅が広がる。ベンチが無ければ無いでダンベルトレーニングは可能だが出来れば用意したい。
この2つだけあればダンベルトレーニングは出来る。通販で安いものを探せば全部で2万円もあればお釣りが来るかと思う。
3.効率的なダンベルトレーニング種目
ここからは各種目を動画とつきで気をつけてほしいポイントを解説しながら紹介していく。ぼくの考える”効率的なトレーニング”は冒頭でも書いたとおり、”強い身体”を作るトレーニングなので、いわゆる”足腰”のトレーニングがメインになる。
この項を読む前に知っておきたい用語があるので解説する。
単関節種目と多関節種目
文字の通り単関節種目は1つの間接のみ動作する運動で多関節種目は複数の間接が動作する運動のこと。前者はピンポイントで狙った筋肉に刺激を与え、扱える重量は軽い。後者は多くの筋肉がリクルートされるので高重量を扱うことが出来る。
時間効率など諸々の理由から、基本的にダイエットでも筋量アップでも多関節種目をメインに行い、単関節種目は補助として行う。
ぼくが紹介するトレーニングは多関節種目がメインになる。
マン・メーカー
プッシュアップ→ロウ→クリーン→フロントスクワット→プレスと様々な種目が組み合わさったクロスフィットでお馴染みの種目。こういった自由な動きが可能なのはダンベルのメリットだ。安定したフォームでリズムよく行いたい。消費カロリーも高くダイエットにもオススメ出来る。
ターゲット
- 全身
ポイント
- プッシュアップではしっかりとお尻に力を入れて身体をまっすぐに
- ロウでは広背筋を使う意識を強く
- 疲れてくるとフォームが雑になりやすい。集中力を保つためプログラムの前半で行う
ダンベル・ルーマニアンデッドリフト
ポステリオール筋群と呼ばれる、身体の背面の筋肉群を効率的に鍛える事が出来るエクササイズ。ハムストリングス(モモ裏)の筋力を向上するだけでなく柔軟性を高める。
ターゲット
- ハムストリングス
- 下背部
- 臀部
ポイント
- しっかりと胸を張り状態を真っ直ぐに保ち、この姿勢は動作中くずさない
- 膝を軽く緩め、お尻を後方に突き出すように下降動作を行う
- ハムストリングスのストレッチが限界に達したら元の姿勢に戻る
ダンベル・フロントスクワット
自重でもバーベルでもキングオブトレーニングは常にスクワットだ。ダンベルでも例外では無い。強い身体には強い下半身が不可欠。しっかりと鍛えてほしい。
ターゲット
- 下半身(大腿四頭筋、ハムストリングス、大臀筋)
- 下背部
ポイント
- しっかりと胸を張り上半身はニュートラルな状態を保つ
- 重心は常にかかと
- 臀部を斜め下に落としていくよう下降し、膝より下まで臀部が降りたら元のポジションへ
ダンベル・リバースランジ
これも非常に効率的な種目。スクワットが正しく行えない場合この種目とルーマニアンデッドリフトでハムストリングスと臀部を強化したい。スクワット、ルーマニアン、ランジの3種目は、ぼくのトレーニングから絶対外せない必須の種目だ。
ターゲット
- 臀筋
- 大腿四頭筋
- ハムストリングス
ポイント
- 胸をしっかりと張り上体を垂直に保つ
- 立ち上がる時は後ろ足で地面を蹴るのではなく、前足の踵で立ち上がる
ダンベル・プレス
やはりトレーニングをするにあたって”見た目”も重要な要素だ。プレス種目でしっかりと胸の筋肉も刺激したい。胸のトレーニングは大きく分けると単関節のフライ系、多関節のプレス系に分類される。(プルオーバーなどもあるが)
ターゲット
- 大胸筋
- 上腕三頭筋
- 三角筋(前部、中部)
ポイント
- 肩甲骨を寄せて胸を張る
- 過度のストレッチは怪我の原因になるので注意
- コンセントリック局面(上げるとき)の頂点で肘をロックしない
- 動画のボディビルダーは歴代でもトップと言われるボディビルダー
ダンベル・ショルダープレス
肩は日常生活でも痛めやすい部位の1つだ。しっかりと筋肉を強化して強い肩を作りたい。また見た目の改善においても肩の筋肉は鍛えたい。肩のトレーニングは単関節のレイズ系と多関節のプレス系があるが、ここではプレス系を紹介したい。
ターゲット
- 三角筋(特に前部、中部)
- 上腕三頭筋
ポイント
- トップポジションで肘をロックしない
- 不自然な軌道で動作すると肩が傷みやすいので、最初は軽い重量からフォームを固める
ベント・オーバー ダンベル・ロウ
ここまで紹介した種目では上背部への刺激が十分とは言えない。そこでロウ種目を加える。少し効かせる感覚を掴むのが難しいが慣れると非常に効率的に背中を鍛えられる。
ターゲット
- 広背筋
ポイント
- 腰から背中は真っ直ぐに保ち、肘を後方に引くイメージで行うと腕の力が関与しづらいので背中に刺激が入る
4.ダンベルトレーニングで構成するプログラム
紹介した種目で構成するプログラム例をあげていく。あくまで1例なのでこの通りに行う必要は無いが効率的なトレーニングのために最低限押さえておきたい原則がある。
漸進性過負荷の原則
前回の自重トレーニング記事でも説明したが、今、行っている種目が楽にこなせる様になったら負荷を上げなければ筋肉は効率良く発達しない。どのように負荷を上げるかは目的によって変わるが、基本的には重量を上げるアプローチで問題ない。
たとえば15kgのダンベルを2つ持ってフロントスクワットを3セット15回の運動が楽に行える様になったら20kgに重さを増やして同様の回数出来るようになることを目指す。
種目の順番
トレーニングプログラムを考える際に種目の順番に気をつけて欲しい。原則として、大きなパワーを発揮する種目から行う。たとえばスクワットとダンベル・プレスではスクワットの方が扱える重量が重く、大きなパワーが発揮されるのでスクワットから行う。大きなパワーを発揮する種目はなるべく疲労していない状態で集中して行いたい。
プログラム1例
ダンベルトレーニングなのでレップ数(回数)を少し多めに設定してみた。想定トレーニング時間は30分程度
プログラムA
- マン・メーカー 3セット×15レップス
- ダンベル・リバースランジ 3×20(左右合計)
- ダンベル・プレス 3×20
- ダンベル・ロウ 3×20
プログラムB
- ダンベル・フロントスクワット 3×20
- ダンベル・ルーマニアンデッドリフト 3×20
- ダンベル・ロウ 3×20 (チンニングが可能ならここはチンニング3×限界に置き換える)
- ダンベル・ショルダープレス 3×20
上記のプログラムを週3回、最低1日の休養を挟んで交互に行う。
例・・・月A、水B、土A、月B、水A、土B、月A…
ウォームアップはトレーニング前に軽い有酸素運動で心拍数、体温を上げる。ストレッチは行わない。クールダウンは静的ストレッチやウォーキングで心拍数を徐々に下げ、呼吸を整える。
注意点
何より大事なのはフォーム。適切なフォームで行えない場合は重量を軽くするなどする。重量にこだわり過ぎてフォームが崩れないように。
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