県立イタイイタイ病(イ病)資料館の春の特別企画展「イ病弁護団の軌跡」が二十六日、富山市友杉の同館で始まった。一九六八年の提訴から、七二年に二審で住民側勝訴の判決を勝ち取るまでの弁護団を五十二枚の写真で紹介する。五月五日までで、入場無料。
病院のベッドで証人の患者と打ち合わせする姿や、亡くなった患者二人の遺影を手にした原告と結審についての所感を報告する様子など、住民の側に立って裁判を戦った弁護団の写真が並ぶ。元弁護団の松波淳一氏が所蔵し、二審勝訴の流れを引き寄せた反対尋問案の書面も展示された。
「客観的な歴史だけでなく、関わった人や苦労した人の姿を見たい」という来館者の声を受けて企画。鏡森定信館長は「地元の若手弁護士や住民が苦労して駆けずり回り、法律の中で公害が解決されてきたことを知ってほしい」と話す。二十六日からは、資料閲覧室で被害者団体などから寄贈された資料三千五百九十五点が新たに閲覧できるようになった。
資料館はほかに、二十七日午後二時から富山市下野の県市町村会館で「留学生のためのイ病講座」を開催。同市友杉のとやま健康パーク第一研修室では、二十九日午後二時から松波氏らの対談「イ病弁護団の活動を振り返って」を、五月三日午後二時から「イ病と公害報道」と題した元NHK富山放送局プロデューサーによる講演を、それぞれ開催する。いずれも無料。 (豊田直也)