北朝鮮は28日午前6時40分(日本時間)ごろ、日本海沿いの江原道元山(カンウォンドウォンサン)付近から中距離弾道ミサイル「ムスダン」と推定される飛翔(ひしょう)体1発を発射した。飛翔体は発射数秒後に墜落。発射は失敗に終わった。韓国軍関係者が明らかにした。韓国軍合同参謀本部によれば、北朝鮮は28日午後7時26分(同)にも、元山から追加の1発を発射したが失敗したとみられる。
ムスダンは射程3千キロ以上で、日本全域と米領グアムを射程に収める。発射台つきの車両に搭載されるため、発射の兆候を事前に把握するのは難しい。北朝鮮は15日にもムスダンを発射し、同様に失敗していた。
北朝鮮は5月6日に36年ぶりに朝鮮労働党の党大会を開く。それを前に内部の結束を固めるため、発射を強行した可能性がある。韓国軍関係者は「前回の失敗を挽回(ばんかい)するため、短期間で無理に再発射を試みたのではないか」と指摘している。
北朝鮮は国連安全保障理事会の決議で弾道ミサイルの発射を禁じられている。前回の発射について安保理は15日、「失敗」だったものの、決議に対する「明白な違反」にあたるとして、強く非難する報道機関向けの声明を発表していた。今回、発射を再び試みたことで、国際社会からさらなる反発を受けるのは避けられない。
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は28日、国家安全保障会議で、北朝鮮の5回目の核実験が「切迫した状況」だとし、万全の対応を指示した。そのうえで、「金正恩(キムジョンウン)政権が国際社会の警告にもかかわらず、核実験を強行する場合、おそらく未来はない」と述べた。(ソウル=東岡徹)
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朝日新聞国際報道部
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