中国の自由貿易区への進出 日本企業に根強い慎重姿勢

中国では、地域を限定して金融や貿易などの規制を大幅に緩和するとした自由貿易区の拡大から、21日で1年になりますが、日本企業の間では、目に見える効果が期待できないなどとして進出に慎重な見方が根強く、中国経済の活性化に結びつくかどうかは不透明です。
中国政府は、地域を限定して、国境を越えた資金のやり取りや税関の手続きなどの規制を大幅に緩和するとした自由貿易区を、去年4月、それまでの上海市に加えて、南部の広東省と、福建省、それに天津市にも拡大しました。
このうち広東省は、海沿いの116平方キロが自由貿易区に指定されて1年となる21日、記者会見を開きました。
この中で当局者は、去年末までに5万6000社を超える企業が新たに進出し、外国からの投資も日本円で2兆円以上に上ったとして、実績を強調しました。一方、自由貿易区への日本企業の進出状況について、具体的な数字は示されませんでしたが、中国にある日系企業でつくる団体は、「企業の間では、減税などの目に見える効果が期待できないほか、規制緩和の具体的な中身が分かりにくく実績を見極めたいとして、進出に慎重な見方が根強い」と話しています。中国は、景気の減速が鮮明になるなか、対外開放を進めて経済の活性化を図りたい考えですが、自由貿易区の拡大後も、中国の貿易は全般に不振が続いていて、貿易や投資の拡大に結びつくかどうかは不透明です。