先日ネットであるニュースがネットで目立っております。
この問題、ネットでも騒ぎになっております。主には「はちま起稿」が過去、ブログで起こしてきた所業に対し、そことゲーム業界の関係者がつるんでいるというのが問題というものが多いです。しかしこの問題の本質は、もっと深いところに根があるのではないかと思ったので、それについて書いてゆきます。
Contents
「はちま起稿」の問題行為
まず「はちま起稿」というブログの存在がどうしてここまで問題とされてるのか、分からない人の経緯を簡単に説明します。
「はちま起稿」はゲームサイトとして始まった個人ブログです。当初は比較的の個人ゲームブログでしたが、次第にゲーム業界ネタを扱うようになり、その記事の内容も2ちゃんねるのゲーム・ハード板にあるゲームのマイナス面を取ってまとめるまとめサイトとなってゆきます。ゲームを扱うまとめサイトは複数ありましたが、中傷やマイナス面を取り上げての評価、時には作り手への個人攻撃的なものなどがあり、注目を集めると同時に嫌う人も多発します。
中でも問題とされたのは「デマ」を載せること。とりあえず以下ほんの一例。
■実在が疑わしい開発者が記事を書き みらいマニアックス !が翻訳し はちま起稿らが拡散 – EXAPON Becky!
■やまもといちろう 公式ブログ – はちま寄稿がアニメ事業の売上で誤報を拡散 – Powered by LINE
また、他のブログでは盗作を訴える人もいます。
■ゲーわく : はちま寄稿さんはうちのニュースを盗むのをやめてください
そのせいか2012年、やらおん、ハムスター速報、オレ的ゲーム速報@刃等と共に2ちゃんねるに転載禁止の旨が書かれることになります。
その時の騒動について詳しくは以下に。
しかしその後も存続。コメントからまとめをしている状態です。
このようなことが積み重なったが故に嫌う人が多いサイトというのが実情で、Chromeでは見るのを排除するためにはちまバスター なる拡張機能までが出ています。
はちま起稿は個人サイトではない
その2ちゃんねる転載禁止令の前に、ちょっとした騒ぎがありました。
2012年、2ちゃんねると2ちゃんねるまとめサイトの間で何が起こっていたのか(前編)でも触れましたが、2012年1月「はちま起稿」騒動というものが起こり、「はちま起稿」の管理体制やそこの会社組織、そして管理人の清水鉄平氏の実名や個人情報が晒されるという出来事がありました。そこで清水氏は引退を宣言します。
その時いろいろな情報が出て来て、さらに本人も『今後、俺がこのブログを管理・更新することはありませんし、そこから利益を得ることもございません。』と書きます。しかし5月には復帰していたようです。ここで「株式会社KND」と自ら出しているので、はちま起稿が会社として運営しているのは確かなようです(ネットを探ればさらにいろいろな情報が出て来ますが、ソースがどれだけ合っているのか不明瞭なものも混じっているので、ここでは確証のあるものだけに留めておきます。それもふまえてこのへんに書いてあります→はちま起稿とは (ハチマキコウとは) [単語記事] – ニコニコ大百科)。
つまりはちま起稿は現在個人サイトではない、ということになります。
問題はどこにあったか
ただ、現在ブログを運営する上にあたって既に個人経営ではなく複数の人が運営している、もしくはそれを法人化しているケースは非常に多くあります。仕事募集サイトでは、更新する人を(薄給で)募集する案件が見られますし。しかし問題は会社が運営することではありません。
会社は一般的に営利を目的とします。しかし営利を目的とする法人が運営するサイトで、前述のような問題行為を行なっているという行為については問題があるのではないでしょうか。もちろんこのような形態ははちま起稿に限らず現在のネットの多くで存在してしまっていますが、だからといって一般的に許容されるかというとそうとは言えないでしょう。
もし、会ったのがどんなにアレなサイトであろうと個人ブログの人であった場合、そこまでは大きな問題になっていなかったと思います。また、当然普通のゲームメディアの人と開発者が飲みに行くならよくあることでしょう。
しかし今回、このような状況が積み重なっていたからこそ、問題となったと思われます。つまり、そのようなことをするリテラシーがないところであるなら、接近するなら何かしらほかの目的、例えば金銭的営利関係を目的とした関係を連想させてしまうなど。ただの個人メディアならそんな力はありませんし、一般的なゲームメディアの人間なら普通はそんな営利的な関係での接触はないでしょうし、一般的にはそのメディアの名前を背負っている以上リテラシーもあります(まあどんな立派な名前背負ってもとある個人にはない場合もあるけどね)。しかし過去の言動よりそうは思われなかったと。
極端な話をすれば、このような関係性がある以上、はちま起稿の記事は全てにおいて(マイナス記事も含めて)利益関係があると思っている人がいても不思議ではないでしょう。
ゲームメディア全体の信頼性にも波及する問題
ただ、これがひとつのサイトの問題で終わるのならばまだいいのです。しかし問題の本質はそこではなく、ゲームメディアの信頼性という外部に波及する問題にあると思われます。つまり、はちま起稿だけが特殊ではなく、ゲームメディアにおいて企業サイトでも載せている情報は全部金など営利関係が働いているのではないかと読み手に思われてしまうこと。
たしかにゲームメディアでは、それこそ雑誌の時代から広告の出稿により特集を組むなどの関係はありました。しかし、そこではある程度の「節度」があったはずです。すなわち紹介はするしいいとこを採るし、たまには大げさな表現も使うけど、嘘はつかないというもの。また、他者を貶して上げるというはもってのほかという感じ。しかしその節度を突破したところにあるものにまでゲームメディアが繋がっているとしたら、ゲームメディア全般信頼性が失われ、何を紹介しても「ステマだ」と思われてしまうことになるのではないでしょうか。
そしてメディアのみならず、私のような個人サイトにおいてゲームを評価しても同じく誰かから金もらっているんだろという嫌疑をかけられたり。そうするとネットにおけるゲームメディアはJANコード以外(発売日と価格は変わるので)何も信頼されないような状態になりかねません。いや、ある側面においてはすでにそうなっているとも言えるでしょう。
もしそうではなくても、そのようなものを許容していけば、将来意図的にそういった目的を持つところが出てくる可能性があります。それこそ不都合な情報を書かない代わりに利益を間接的に要求する総会屋雑誌的なものなど。
GamesIndustry.biz Japan Editionの表記
先日、日本で新しく開設された海外系ゲームビジネスサイトGamesIndustry.biz Japan Editionでは、以下のような文面がありました。
『はちま起稿,オレ的ゲーム速報 刃などへの転載はご遠慮ください。』
著作権的な問題や、記事にする対象者にそういった転載による迷惑をかけないというのが主目的と思われます。しかしさらに(書いた人の意図があるにせよないにせよ)当サイトはそういったところと関係がない、持たないというのを明示する役割も出来ているのではないでしょうか。もし、ビジネスサイトでそのようなメディアとつながりがあると見做されているものを当事者である業界人が使うかどうかを想像するのは簡単でしょう。
ネットにおけるゲームメディアやゲーム情報の在り方について考え直す機会
今までゲーム業界は、この手のサイトではデマなども含めてかなり好き勝手に言われていたところがあります。それは、個人サイトと見なされていたこと、また対処するのに手間がかかり、放置するのが一番と思われていたところがあるでしょう。ただ、長年このような状態が個人、企業含めゲームのメディアで許容されていた状態が異常だったのかもしれません。それが今の状態なのですから。
しかしこのままではメディアの信用、ひいてはゲーム業界までもそのようなものに埋もれてしまう可能性があります。
ゲームを好きな子どもが、はじめてのネットで大好きなゲームのことを知りたいとって思って検索した結果見るものがはちまとかまとめサイトの罵詈雑言だったら、ゲームを面白さで好きになるでしょうか。
もう一度ネットにおけるゲームメディアは、情報の発信はどうあるべきか、業界関係者からユーザーまで考えてみる必要があるのではないでしょうか。大げさな行動などではなく、関係性を持たない、例えばTwitterでRTをしない、フォローしないなど、いくらでも出来ることはあるのではないでしょうか。