ハートネットTV 緊急報告・熊本地震(4)「どう支える 被災した高齢者」 2016.04.28


一番大事なのは自分は大切な存在という事を子どもが実感する事です。
子どもが小さいうちは常に目で耳で心で子どもと向き合い見守りましょう。
生字幕放送でお伝えします
熊本地震からきょうで2週間。
避難生活が長期化する中とりわけ厳しい状況に置かれているのが高齢者です。
地震が起きて以来食べ物がのどを通らなくなったという女性。
過酷な避難生活で急速に体力を奪われ命の危機にさらされるお年寄りも増えています。
生きる意欲をどのように維持していくかも大きな課題です。
避難所ではなく被災した建物にとどまり続けている高齢者。
大丈夫よ。
お年寄りの気持ちを大切にしながら安全に過ごせる環境をどのように作っていくべきか。
被災した高齢者に今、どんな支援が求めらているのでしょうか。
熊本での最初の地震から2週間がたちました。
震度1以上の地震がきょうで1000回を超えるなど活発な地震活動が続いています。
「ハートネットTV」ではきのうに引き続き生放送で被災した高齢者をどう支えたらいいのか考えていきます。
番組のホームページでは被災地の障害者や高齢者の団体や施設などに取材した情報を掲載しています。
その一部を画面の下にご紹介してまいります。
さて、今回の地震でこれまでに49人の方が亡くなっています。
一方で地震から生き延びたものの過酷な避難生活などによって命が失われてしまうという震災関連死も増えています。
その震災関連死の疑いがある人は現在16人でそのうち14人が高齢者という状況です。
高齢者は、今どんな状況に置かれているんでしょうか。
いち早く被災地に活動している高齢者ケアチームを取材しました。
避難所を訪ねお年寄りに声をかけて回る女性たちがいました。
全国から応援に駆けつけた看護師などの支援チーム。
食事やトイレ避難所での過ごし方など生活全般の指導を行っています。
声をかけたのは毛布をかぶって横になっていた男性。
1日の大半を寝て過ごしているといいます。
過去の災害では元気だった高齢者が僅か数週間の避難生活で寝たきりになってしまったケースも報告されています。
支援チームが、とりわけ力を入れているのが食事です。
避難所で支給される食べ物はかむ力や飲み込む力が弱い高齢者にとって食べづらいものが少なくありません。
この日、食べるのに苦労している男性を見つけました。
支援チームでは症状に応じておかゆやジュースなどを提供しています。
チームでは食べる力を取り戻すための支援も行っています。
この日、訪ねたのは大勢のお年寄りが避難生活を送っている高齢者施設。
食べ物が、のどを通らないという女性に対して姿勢を改善してみてはどうかと提案しました。
緊急性が高いケースもありました。
こちらの女性、地震が起きて以来ほとんど何も口にしていないといいます。
体の角度を変えながら食べやすい姿勢を探っていきます。
チームによれば支援した高齢者の大半が必要な栄養を摂取できていませんでした。
命を守る食事の支援。
チームでは口の中を清潔に保つ口腔ケアにも力を入れています。
水が不足しがちな避難生活では歯磨きなどがおろそかになりがちです。
しかしそのまま放っておくと口の中で細菌が増殖。
肺炎を引き起こすおそれがあるといいます。
どうかな?ほっぺたね、ぷーして。
べろ、べーして。
べー。
高齢者が健康を損なわないための支援。
震災関連死をこれ以上、増やさないためにもこうした支援のさらなる広がりが求められています。
命を守るためには本当に生活面での、こういったケアが今、必要なんだということが本当に、よく分かりました。
今まさに必要だということで電話がつながっています。
避難所で食べることのサポート活動を続けている医師の前田圭介さんです。
前田さんこんばんは。
お忙しい中ありがとうございます。
よろしくお願いします。
地震が起きて2週間がたちましたけども高齢者の皆さん状況、いかがでしょうか?
最も被害の大きい益城町では避難所のパンク状態がまだ続いていると思います。
廊下の硬い床で寝ている高齢者もまだ、たくさん見られます。
最近まで避難所の運営も混乱していましたから今ようやくピークを越えてきたというような状況だと思っています。
こういった支援をしているのは普通に皆さん行っていることなんでしょうか?
これはなかなか行われていないことでして5年前の東日本大震災で食べる支援という必要性が明るみになってきましてその支援に入ったメンバーのほとんどが早期介入の必要を言っていました。
それを受けて、私たち今回、早い時期から食べる支援をしたいと思って活動を始めさせていただきました。
ただ、私たちの、この取り組みは多くの避難所で行われているわけではなくてまだ少なからず混乱が続いていてケアが十分に行き届いていない益城町の避難所に限られています。
命の危険を感じるようなケースもありましたか?
今VTRでありましたようにもともと歩けていたけど数日の避難所暮らしで歩けなくなってきたとかまたはトイレ回数を減らすために水分摂取を我慢していたとかそういう方々は、やはり肺炎を代表とするようなものの高リスクだろうと考えています。
大きなことにならないように済むために手前でやれることはやって防いでいきたいですよね。
前田さん、お忙しい中ありがとうございました。
ここからは高齢者のケアに詳しい新田國夫さんとお伝えしていきます。
新田さん、よろしくお願いします。
新田さんは在宅医療に長く携わっておられますが今の映像、そしてインタビューでもありました食べることで命を支えていこうという動きどうご覧になりますか?
今、一番非常に大切なチームだろうと思ってるんです。
なぜかというと地震後、2週間目っていうのは先ほど、話がありました関連死を含めて大変、重要な時期です。
なぜかと言いますと今まで普通に生活をしていた方がこういった避難所生活をするということは先ほど説明がありました普通の生活で動かなくなる。
そして動かなくなるということは食べる能力すら落ちるそして、脱水も起きる低温になるということで今、支援しないとこれから、そういった関連死も増えるわけですがこれは、われわれが防げる話だろうなと思っています。
今、重要な時期とおっしゃいましたがこちらをご覧ください。
こちら東日本大震災で発生した宮城県内の震災関連死を時期別に表したものです。
地震発生後、1週間から1か月が最も多いことが分かります。
上から2番目ですね。
長期化する避難生活の疲れから体調が悪化しやすく最悪の場合、死に至ってしまう危険な時期といえます。
まさに本当に今が大切な時期でこの時期にどういうケアが求められるんでしょうか?
高齢者、いろいろありますが重度な高齢者、要介護状態などその方たちにとって必要なことは今のような口腔ケア食べることを維持するということです。
一般の元気な高齢者には普通の生活例えば歩くとかちょっとしたトイレも自分でみずから行くとか普通の生活をしていただくということですね。
今のような当たり前のケアいわゆる食べることを支援するには食べるというのは口腔の中の清潔動作だけじゃなくて機能も作ってあげるということですね。
今まで忘れられてきたことなんです。
私たちは身体の筋力とかそういうことだけを注視してきましたけどこれ、重要な視点で、私はきちっと全体の場所にやっていただきたいと思っています。
食べるっていうのは機能の維持にも大事ですけどおいしい、生きる意欲にもつながってくると思うんですね。
そのとおりですね。
被災者っていうのは受け身になるんですね受け身になることで、さらに精神的ショックもありますからそこで食べる意欲もなくなると。
そのために、人が入りそしてケアをし、食べる楽しさを味わうというような環境作りも必要ですね。
今回、私も口腔ケアが本当に高齢者にとって大事なんだということを改めて知ったんですけどもやっぱり、それじゃないと病気を誘発するということは先ほど何度も。
ここ数年、日本で本当に進歩してきたんですが口腔ケアをすることによって肺炎を防止するって先ほど、話がありましたけどもこれは、きちっと証明されている話です。
ただ肺炎防止するだけじゃなくて私たちは、口の中をきれいに入れ歯をきれいにするとまた、会話ができますよね。
機能も保つということで機能を保って、会話ができて食べることの意欲を増やすということだと思います。
長期化する避難生活についてですがさまざまな声が届いています。
一部ご紹介をさせていただきます。
被災地にお住まいの当事者の方からです。
そして、被災地に住む友人が親御さんの介護をしているという方からです。
さらには障害者・高齢者を受け入れている西原村社会福祉協議会のぎく荘からの声です。
それぞれの声が届いています。
待ったなしの状況でなんとか支援の手が届かないかという思いを強くします。
さて、先週、放送した番組では一度は避難所に身を寄せたものの被災した建物に戻ってきた高齢者施設の皆さんをご紹介しました。
その後、別に施設や地域へ移ったらどうかというすすめもあったんですが今も「危険」という紙が貼られた建物で避難生活を続けています。
益城町にある有料老人ホームです。
すぐに倒壊するおそれはないものの周辺の地盤などに問題があるとして立ち入らないよう町から勧告を受けています。
ここで避難生活を続けているお年寄りは9人。
スタッフが調達してきた支援物資で3度の食事をつないでいます。
最初の地震から5日目。
施設の窮状を耳にして厚生労働省の職員が訪ねてきました。
安全を確保するため福岡県内の施設にお年寄りたちを避難させたらどうかというのです。
すぐに返事をしなかった代表の奥村さん。
ためらう理由がありました。
実は奥村さんたちは避難所に身を寄せたこともありました。
しかし、ホームに帰りたいと大声を出したりうつの症状を悪化させたりお年寄りたちは次第に憔悴していきました。
やむをえず戻ってきた施設。
すると、お年寄りの表情に変化が表れました。
100km近く離れた福岡に避難をすれば再び大きな環境の変化にさらしてしまうことになります。
大丈夫よ。
とはいえ、いつまでも今の暮らしを続けていくことはできません。
活発な地震活動が続く中お年寄りたちに疲労も見え始めています。
何が最善の選択なのか奥村さんは考えあぐねています。
難しいですね。
決して安全とはいえない施設だけれども「ここにおる」という女性のことばが胸に刺さりますよね。
難しいです。
新田さんどうご覧になりました?
これは個人の意思と意思決定をいわば尊重するというのが一つありますね。
一方では客観性で評価して安全と安心を得るというこれは主に行政が行うことですよね。
それはどの場合でも二律相反するんだけれどもそのジレンマにあるんだけどそこのところを、きちっと解決策を作らなければいけない。
そのためには恐らく、僕はよくいう高齢者の3原則というのがあると思うんですね。
それは、1つは、いわば生活の継続性。
なるべく、その人がその人らしい生活ができることをきちっと守るということですね。
第2に、その人が今残された能力を維持するということですね。
例えば元気な高齢者が落ち込まないように。
そしてちょっと要介護になった人がそれをまた元気になるあるいは守るようにそういうことですね。
生活、その中の能力を維持すると。
第3に何よりも大切なのは本人の意思決定意思を大切にする。
さらに言うと意思決定を誰がきちっと判断するのかというそんなようなことが求められる中で恐らくこの方たちが移動することによってそれって、いわば、例えば日常の人が新しい場所に行くとロケーションダメージを受けると心的な障害を受けるということでやっぱり、その方の身の安全と心の安全をきちっと守ってあげるというこのことが僕は原則だろうなというふうに思います。
身の安全と心の安全と。
改めてなんですが高齢者の命を守るために被災地では何が今後課題となっていくと思われますか?
私は今、全国で作られている作ろうとしている地域包括という難しいことばがありますがそれは、もう少し簡単にいうとその町がつながりあってそれぞれが支えるというそういうことだと思います。
そうするとこういう震災っていうのはその町を一部壊すわけでございますよね。
その生活も壊すわけですね。
そうすると基本はその人たちが元の生活に戻る、何年後か東北もそうですよね。
なるべく早期に戻ることをきちっと守るために生活支援生活のお互いの作り方ですねそのことを基本としなければいけないのが一つと。
もう一つは基本は、そのときに誰が維持をするのかというやっぱ、そこを一人一人を大切にする生活のコーディネーターみたいなたくさんという人で見るんではなくて一人一人を大切にするっていうそういったようなことが一つそういうものを作る必要があります。
番組のホームページには被災された方からの声や支援に関する情報も載っております。
2016/04/28(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 緊急報告・熊本地震(4)「どう支える 被災した高齢者」[解][字][手]

熊本県などで続く一連の地震。被災地にいる障害のある人や高齢者の置かれた状況、必要な支援についてなど現地を緊急取材して、手話通訳や生字幕、生解説つきで伝える。

詳細情報
番組内容
熊本県などで相次ぐ一連の大きな地震。被災した障害のある人、高齢者の置かれた状況、必要な支援についてなど、現地を緊急取材して生放送で2夜連続で伝える。手話通訳や生字幕、生解説をつけながら、被災した障害者・高齢者、現地の当事者を心配する家族や関係者に向けて、必要な情報を提供する。
出演者
【出演】医師…新田國夫,【キャスター】久保純子,山田賢治

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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