な、なんだこれは・・・!!?
エモーショナルライティング・・・!
ボーン、自身の中にあふれ出た感情を言葉として紡ぐつもりね・・・!
なんだ、このタイピング音のリズムは・・・!?
緩やかでいて、そして情熱的な・・・。
な、なんだか、片桐さんのタイピング音が、まるで音楽のように聞こえてきます・・・!
ふふふ。
そう聞こえるのはね、ボーンが今、ムツミさんが書いた文章を、自身の感情を込めてリライトしているからよ。
感情・・・!?
ええ。
人の心を動かすのは「論理」ではなく「感情」だから。
論理ではなく、感情・・・!?
!?
!?
な、なんだ今の音・・・!?
あっ!!!
・・・!
ム、ムツミのPCのキーボードが・・・!!
壊れた・・・。
エモーショナルライティングにおけるボーンのタイピングは、ピアノをpp(ピアニッシモ)で奏でるかのように優しい強さのはず・・・!
おそらくは、あのノートPCの筐体が薄すぎたのね・・・!
え・・・。
お・・・俺のPCが・・・。
まだ11回もローンが残っているのに・・・。
はぁぁぁぁぁああああああああ!!!
!!?
ボーン、何をするつもり・・・!?
そのPCのライフはもう・・・!
CPUはまだ死んでいない。
音声入力!!?
なるほど!
その手があったわね!!
『ペラペラペラ・・・今、国内の主な観光地には、海外から多くのお客様がお越しになることはご存じだと思います・・・ペラペラペラ』
お、おっさん、急に何か話し始めたぜ・・・!?
どうされたのかしら・・・!?
も、もしかして、ノートPCを壊したショックでおかしく・・・。
ふふふ。
ボーンが持っているノートPCの画面を見てみなさい。
今なら風が起きないから。
・・・!
す、すごい・・・!!
片桐さんが話すのと同時に、文字がどんどん入力されていきます・・・!!
音声入力ってあんなに正確な文章が書けるのか!?
シッ!
大きな声をあげると、あなたたちの声も入力されてしまうわよ。
あっ・・・。
りょ、了解。
『ペラペラペラ・・・よかったら、ぜひ、みやび屋の「親孝行プラン」をチェックしてみてください。
親御さんへの親孝行のプレゼントとしていかがでしょうか?・・・ペラペラペラ』
音声入力コンプリート。
お・・・終わったのか・・・!?
・・・。
ボーン、見事ね。
音声入力の場合は、変換の正確性を考え、どうしても平易な言葉を選ぶことにはなってしまうが、まあ、読める文章にはなっているだろう。
・・・?
ふたりとも、ボーンが書いた文章をあらためて見てみなさい。
お、おう。
!!?
・・・す、すごい・・・!!
さっきの音声入力でこんな文章が入力されていたなんて・・・。
「家族と一緒にゆっくりとした時間を過ごしたい」
「隠れ家のように素敵な温泉に出会いたい」
私たちは須原にて「みやび屋」という旅館を営んでいる宮本サツキとムツミと申します。
両親の後を継ぎ、大好きな須原の温泉地を守り続けています。
その理由は、東京から“ほどよい距離”にあるということ。
ただ、海外から来られるお客様の中には、私たち日本人にとって驚くような行動をされる方がおられ、同じ旅館に泊まっているほかのお客様がイヤな思いをするケースがあるそうなのです。
とくに、温泉は“日本独自の文化”であるため、たとえば「お風呂の入り方」といったマナーを海外からのお客様が学ぶ機会が少なく、マナーを熟知したお客様とそうでないお客様との間で差が生まれていると聞きます。
それにより「せっかくの家族旅行でゆっくりとした時間を過ごしたかったのに、なんだか後味の悪い旅行になってしまった・・・」という国内のお客様の声が耳に届くようになりました。
なぜなら、栃木は東京から少し離れているほか、ほかの温泉地に比べると、海外からのお客様でも温泉初体験の方が少ないためです。
栃木に足をお運びいただくお客様は、すでに日本の主な温泉地を巡られた方が多く、マナーに大変詳しいので、トラブルは起きません。
施設や食事の雰囲気はホームページから分かっても、どんなお客様が宿泊されているかは当日にならなければわかりません。
旅はどんなお客様と一緒に時を過ごすかが大切です。
栃木で温泉旅館をお探しの際の参考になれば幸いです。
栃木での温泉旅行を検討される際には、ぜひチェックしていただけると幸いです。
目の前に広がる大自然の風景を眺めつつ、そばを流れる渓流のせせらぎと森の音に耳を澄ませば、この上なくリラックスすることができるでしょう。
「大自然に囲まれた中で温泉に浸かってみたい」と考えている方の夢を叶えてくれる、栃木が誇る温泉のひとつです。
その階段の途中には休憩所もあり、温泉へ辿り着くまでにちょっとした冒険心を感じることができます。
とくに「河原湯」は川まで手を伸ばせば触れる距離にあり、自然と一体になる気分を味わえます。
自分たちの旅館の紹介で大変恐縮なのですが、みやび屋では、今、あることに力を入れており、ぜひそれを知っていただきたいと思い、ご紹介させていただきます。
みやび屋には「美人の湯」と呼ばれる、刺激が弱くお肌にも優しい野天風呂があり、女性のお客様だけでなく、お子様やお年寄りの方から愛されてきました。
仕事が忙しかったり、照れくさかったり、そこにはきっといろいろな理由があると思います。
私たちもそうでした。
私たち姉弟はこのみやび屋、そしてみやび屋を訪れるお客様が大好きで「将来、もしみやび屋を継ぐことがあったら、もっと素敵な旅館にしてゆけたらいいね」とよく話したものでした。
今、私たちは、みやび屋を愛した両親の思いを継いで、このみやび屋で働いています。
もし、あなたが今「親孝行をしたいな・・・」と思ったのなら、その気持ちを大切にしてください。
素敵に年を重ねられ、ますます若くなられる50代以上の方々。
私たちの両親はちょうど50代でした。
親御さんへの親孝行のプレゼントとしていかがでしょうか?
~以下略~
・・・・。
この文章、スラスラ読めちゃいます・・・!
まるで“生きている”みたい・・・。
生きている?
は、はい、心の中にスッと入ってくるというか、血が通っているというか・・・。
ふふふ、それはね、ボーンが“感情”を注ぎ込んだからよ。
どんなものも感情を宿せば、生命をもつわ。
それが、あなたがボーンの文章を“生きている”と表現した理由かもね。
感情を・・・宿す・・・?
いいわ。
ボーンがリライトした文章が、ムツミさんの書いた文章とどう違うのかを、カンタンに説明してあげるわね。
- 感情を入れる
- その感情を出す「話者」をハッキリさせる
「話者」をハッキリさせる・・・!?
そう。
どんな文章も、可能なかぎり、話者、すなわち、“その文章を書いているのは誰か?”をハッキリさせたほうがいいわ。
なぜなら、その文章がいかに感動的であっても、どんな人が書いているかがわからないと、十二分に“共感”できないからなの。
共感・・・!?
ああ。
文章で人を動かすためには、“共感”は不可欠だからな。
そ、そういえば、“共感”という言葉、マーケティングに関する本などでよく見ます・・・。
だろうな。
マーケティングにおいて、“共感”ほど大事な要素はないからな。
ただ、それらの本では、“共感”という言葉がどのように説明されていたかを憶えているか?
・・・えっ・・・!?
ど、どのように・・・って・・・。
共感は“共感”という言葉の意味、そのものじゃないんですか・・・?
あえて言うのなら、“共に感じる”・・・みたいな・・・?
・・・。
どうやら、このみやび屋の集客がうまくいかない原因は、おまえたちがマーケティングの本質を見ようとしていないことにあるようだな。
!!?
“共感”・・・。
今の時代、マーケティングに関するどんな書籍を見ても、“共感”という言葉が使われている。
しかし、この“共感”という言葉ほどわかりづらい言葉はない。
えっ・・・!!?
どんな言葉も、その言葉に隠されている本質的な意味を理解しないと、使いものにならん。
とくに、“共感”のような短い言葉はな。
きょ、共感という言葉に一体どんな意味が隠されているっていうんだよ・・・!?
いいだろう、教えてやろう。
共感とはな・・・。
相手の感情に「同意」することを指す。
相手の感情に・・・。
同意・・・!?
そう。
共感とは、相手が伝えようとしている感情に“同意”することを指すの。
誰かが何かの文章を読んだ際、「この文章を書いた人の気持ちがわかるわ」という同意がなければ、共感につながったとはいえない。
ちなみに、同意という言葉は、本来“意見・求めなどに対して賛成・承諾すること”を指すけれど、ボーンは共感の本質を解説する際に、あえて“同意”という言葉を使っているの。
・・・そして、当然のことながら、感情を紡ぐのは我々人間だ。
つまり、誰が書いたか分からないような人間味のない文章では、共感することが難しくなる。
なるほどです・・・!
だから片桐さんは、話者がどんな人間か分かるような描写を文章に付け足したんですね・・・!
●先ほどの文章で「話者に関する描写」が加えられた箇所
はじめまして。
私たちは須原にて「みやび屋」という旅館を営んでいる宮本サツキとムツミと申します。
両親の後を継ぎ、大好きな須原の温泉地を守り続けています。
~(以下略)~
私たちの両親はみやび屋を営み、私たちは幼少の頃からみやび屋の手伝いをしてきました。
私たち姉弟はこのみやび屋、そしてみやび屋を訪れるお客様が大好きで「将来、もしみやび屋を継ぐことがあったら、もっと素敵な旅館にしてゆけたらいいね」とよく話したものでした。
でも、そのタイミングは、ある日唐突に両親との別れとともに訪れました。
今、私たちは、みやび屋を愛した両親の思いを継いで、このみやび屋で働いています。
この話者の描写を入れることにより、感情的な表現が活きてくる。
感情的な表現・・・!?
「」(カギ括弧)で囲まれた場所を見てみなさい。
この「」内の箇所は、心の叫びのように見えるでしょ?
ボーンは「」を使うことで、感情的な表現とそれ以外とを視覚的に分けていたの。
●先ほどの文章で感情的な描写が加えられた箇所
「いつもとはちょっと違った旅にしたい」
「家族と一緒にゆっくりとした時間を過ごしたい」
「隠れ家のように素敵な温泉に出会いたい」
~以下略~
「せっかくの家族旅行でゆっくりとした時間を過ごしたかったのに、なんだか後味の悪い旅行になってしまった・・・」
~以下略~
「大自然に囲まれた中で温泉に浸かってみたい」
~以下略~
「親孝行をしたいな・・・」
な、なるほど・・・!
私がさっきの文章を読んだときに心にスッと入ってきたのは、こういった感情的な表現に共感していたからなんですね・・・!
ふふふ。
・・・そして、“共感”を起こすためには、読み手の“自分事化”も大切だ。
自分事化・・・?
そう。
ライティングにおいて欠かせないのは、読み手の自分事化。
今自分が読んでいる文章が、自分にとって関係のある文章だと思わせることで、文章を読み進めてもらいやすくなるの。
あ、そうそう。
たとえば、ふたりとも、「カクテルパーティー効果」って知ってるかしら?
カクテルパーティー効果・・・?
ええ。
「カクテルパーティー効果」というのはね、お酒の席でたくさんの人が談笑していたとしても、自分の興味のある話、自分が聞き覚えのある話に関しては自然と会話が耳に入ってくる現象のことを指すの。
た、たしかに、飲み会などの席で、全然知らない人が自分の知っている話題について話していると、その会話の内容が耳に入ってくることはあるな。
このカクテルパーティー効果はライティングにおいても使えるノウハウなの。
もともと、カクテルパーティー効果というのは聴覚に関する心理効果なんだけど、視覚にも適用できるのよ。
たとえば、読み手が見慣れた言葉や、読み手の興味をそそる言葉を入れれば、読み手の“自分事”になり、文章を読んでもらえる可能性が高まるというわけね。
これを難しい言葉で、「選択的注意」と呼ぶんだけれど。
読み手が見慣れた言葉・・・。
たしかに、自分が見慣れた言葉が出てくる文章は読みやすいです・・・!
そうよね。
同じ感情を伝えるにしても、言葉の選び方によっては伝わり方は大きく変わってくるわ。
たとえば、次の例を見ると一目瞭然よね。
●同じ内容を別の表現で表した例
●A
「久々の休暇、家族旅行で家族のコミュニケーションの活性化を計画したが、思ったほどの成果はあげられなかった」
●B
「せっかくの家族旅行でゆっくりとした時間を過ごしたかったのに、なんだか後味の悪い旅行になってしまった・・・」
うわ・・・。
Aはありえねーって感じ。
Aの文章は感情に訴えかけてこないし、読まずにスルーしちまいそう・・・。
私も・・・。
まあ、さっきの例はあくまでも極端な例だけどね。
読み手が見慣れた言葉を使うことがいかに重要かが伝わればうれしいわ。
ただし、どれだけ見慣れた言葉を使ったとしても、文章をパッと見た際に、それらの言葉がすぐに目に付く必要がある。
カクテルパーティー効果とはいえ、あまりにも大音量の会場では相手の話が聞き取れないように、言葉が混雑した場所では言葉を見つけられない可能性があるからな。
だから、文章は見た目も大事にしろ。
見た目・・・!?
ああ。
たとえば、「改行」や「行間」には細心の注意を払え。
「改行」と「行間」・・・!?
続けて実例を見せてみるわね。
このふたつの文章のうち、どちらの文章がパッと見て読みやすいかしら?
そして、ふたつ目にご紹介するのは、私たち姉弟が営む須原の温泉旅館「みやび屋」です。自分たちの旅館の紹介で大変恐縮なのですが、みやび屋では、今、あることに力を入れており、ぜひそれを知っていただきたいと思い、ご紹介させていただきます。みやび屋は山々に囲まれた静かな温泉郷、須原にて、大正15年に創業しました。みやび屋には「美人の湯」と呼ばれる、刺激が弱くお肌にも優しい野天風呂があり、女性のお客様だけでなく、お子様やお年寄りの方から愛されてきました。そんなみやび屋では、今、「親孝行」をしたい方へ向けた親孝行プランに力を入れています。
●B
そして、ふたつ目にご紹介するのは、私たち姉弟が営む須原の温泉旅館「みやび屋」です。
自分たちの旅館の紹介で大変恐縮なのですが、みやび屋では、今、あることに力を入れており、ぜひそれを知っていただきたいと思い、ご紹介させていただきます。
みやび屋は山々に囲まれた静かな温泉郷、須原にて、大正15年に創業しました。
みやび屋には「美人の湯」と呼ばれる、刺激が弱くお肌にも優しい野天風呂があり、女性のお客様だけでなく、お子様やお年寄りの方から愛されてきました。
そんなみやび屋では、今、「親孝行」をしたい方へ向けた親孝行プランに力を入れています。
B・・・だな・・・。
Bのほうの文章はね、句点(。)のあとに必ず改行が入っているの。
そうすることで、文章のブロックが分かりやすくなり、自分に関係している言葉を見つけやすくなるのよ。
えっ・・・?
句点(。)のあとに必ず改行を入れると、縦に長くなりすぎないでしょうか・・・?
大丈夫よ。
実は今、スマホを使って文章を読む人が増えているの。
彼らはね、縦に長いWebページを見るのに慣れているわ。
たとえば、3ちゃんねるまとめサイトとか、縦読みのWebマンガとか、すごく縦に長いの。
な、なるほど・・・!
言われてみたら、そうだな・・・。
また、今の人たちは画面をどんどんスクロールして読み飛ばしていくクセがある。
そう考えた際、文章ブロックの始まりができるだけ左端に揃っているほうが、各文章の内容を瞬時に把握できて、理解しやすいのよ。
へえええ・・・。
(・・・ってよく考えたら、オレ、まさに文章を読み飛ばしがちなタイプだった・・・)
改行や行間に気を配ると、縦に長くなってしまう分、記事を読むのに時間がかかることを懸念するWeb担当者は多いわ。
でもね、人はその文章が読みやすければ、10分かかっても読んでしまうものなのよ。
じゅ、10分!?
これは私たちがコンサルをしている、あるサイトのアクセス解析のキャプチャ画像だけど、記事によっては10分以上読まれているの。
じゅ、10分も読まれているのか・・・。
まるでサザエさん1話分みたいだな・・・。
ふふふ。
実際はサザエさん1話分より長いけどね。
まあ、長く読んでもらえればいいってわけじゃないけれど、長く読んでもらえれば、その分、読み手との接触時間が増えるので、自分たちが伝えたいことが相手により伝わりやすいともいえるわね。
た、たしかに・・・。
そんな感じで、文章を長く読んでもらうためには、いくつかのポイントを押さえる必要があるわ。
たとえば、さっきボーンが書いた文章は、長くなっても読み進めてもらえるよう、以下のことにも気をつけて書かれているの。
- 冒頭文で共感を誘発する
- 指示代名詞をあえて減らす
- 漢字とひらがなの含有率を調整
- 行間・改行に気を配る
「冒頭文で共感を誘発する」・・・?
ボーンの書いた文章をもう一度読んでみて。
文章の最初に読み手の自分事になる感情表現が入っているでしょ?
●先ほどの文章の冒頭文
「いつもとはちょっと違った旅にしたい」
「家族と一緒にゆっくりとした時間を過ごしたい」
「隠れ家のように素敵な温泉に出会いたい」
そんな方々に人気なのが、栃木の温泉です。
ほんとだ!!
まあ、必ずしも最初じゃなくていいんだけど、読み手の自分事になる感情表現を前半で見せることで、多くの人に「このページには自分の要望を満たしてくれる情報が書かれているかも」と思わせることができるの。
なるほど・・・。
この「指示代名詞をあえて減らす」ってのは何なんだ・・・?
いわゆる、「この~」とか「その~」とか「当~」という表現を減らすということよ。
今回の文章では、みやび屋の名前をあえて指示代名詞にしないことで、読み手が記事の途中から読んでも、主語が何かが分かりやすくしているわ。
また、何度も名前を出すことで、単純接触効果(ザイアンスの法則)により、相手の記憶にみやび屋という名前が残りやすくしている。
●先ほどの文章における、みやび屋の解説(指示代名詞少なめ)
自分たちの旅館の紹介で大変恐縮なのですが、みやび屋では、今、あることに力を入れており、ぜひそれを知っていただきたいと思い、ご紹介させていただきます。
みやび屋には「美人の湯」と呼ばれる、刺激が弱くお肌にも優しい野天風呂があり、女性のお客様だけでなく、お子様やお年寄りの方から愛されてきました。
仕事が忙しかったり、照れくさかったり、そこにはきっといろいろな理由があると思います。
私たちもそうでした。
私たち姉弟はこのみやび屋、そしてみやび屋を訪れるお客様が大好きで「将来、もしみやび屋を継ぐことがあったら、もっと素敵な旅館にしてゆけたらいいね」とよく話したものでした。
今、私たちは、みやび屋を愛した両親の思いを継いで、このみやび屋で働いています。
もし、あなたが今「親孝行をしたいな・・・」と思ったのなら、その気持ちを大切にしてください。
素敵に年を重ねられ、ますます若くなられる50代以上の方々。
私たちの両親はちょうど50代でした。
親御さんへの親孝行のプレゼントとしていかがでしょうか?
へええ・・・。
も、もうひとつの「漢字とひらがなの含有率を調整」というのはどういうことでしょう・・・?
それはね、文章をパッと見たときに、漢字やひらがなのバランスがちょうどいいと思わせることなの。
漢字とひらがなのバランスがちょうどいい・・・!?
ええ、私たちは漢字だらけの文章だと、その文章を難しく感じ、ひらがなだらけの文章だと逆に平易に感じて読む気が失せるものなの。
だから、難しくもなく、ある程度平易に見えるような、ちょうどいいバランスで言葉を紡いでいく必要があるのね。
そんな細かい配慮まで・・・!
ちなみに、漢字をひらがなにすることを、専門用語で“ひらく”というの。
憶えておいてね。
“ひらく”・・・。
●先ほどの文章で漢字をひらがなに“ひらいた”箇所
分かりません → わかりません
一つ、二つ → ひとつ、ふたつ
頂く → いただく
諺 → ことわざ
な、なんだかすげえ・・・。
オレ、今までこんなに深くライティングに向き合ったことがなかった・・・。
ふふふ。
ボーンの文章は実際には、文章の論理展開やリズムなども配慮されているんだけれど、それはまた今度教えてもらいなさい。
ライティングをする際には、まずは読み手の脳にできるだけ“ラク”をさせることを考えろ。
相手の脳に・・・
ラクをさせる・・・!?
はぁああああああああ・・・!!!
えっ!!?
ま、またなんか技をするのかよっ!!!
・・・。
って本を出しただけじゃねーか!!
2002年のノーベル経済学賞を受賞した、行動経済学者のダニエル・カーネマン氏の著書「ファスト&スロー」ね!
ダニエル・カーネマン氏の書いた「ファスト&スロー」とは、人間がとる行動は、直観的かつ感情的な要素によるものが強いということを説いたベストセラー書籍である。
この本をお前にやろう。
ノートPCを破壊したお詫びだ。
この本を読めば、相手の脳にラクをさせることのメリットを知ることができるだろう。
ああああああ!!!
そ、そうだった!!!
おっさん、俺のノートPCを破壊しちまったんだ・・・。
・・・。
ボ、ボーンさんも悪気があったわけではないし、そもそも、ボーンさんのコンサルティング料って、ノートPCが何台あっても払えないくらいの金額なのよ。
それをサービスしてくださったんだから、ノートPCの一台くらい、だ、大丈夫じゃない?
・・・。
うちのホームページを更新してもらうときは、私のPCを使ってもらえばいいから。
ほら、ムツミ。
・・・。
・・・。
キーボードの破壊は不可抗力だった。
すまん。
・・・これも渡しておこう。
ボーンはそう言うと、脱いでいたジャケットの脇から、何かを取り出した。
これは・・・!?
外付けキーボードだ。
お前のPCは、CPUなどは壊れていない。
USBでこのキーボードをつなげれば、普段の仕事もそれほど支障なくできるだろう。
(あのジャケットの脇にあんなキーボードが入っていたなんて・・・)
・・・な、なんだかイカツイキーボードだな・・・。
・・・!!?
むぐぎぎぎぎぎ!!
お、重えええ!!!
なんだ、このキーボード・・・!?
言い忘れていた。
そのキーボードは10kgある。
10、10kg・・・!!?
な、なんでできているんだ、このキーボード・・・?
金だ。
その黒いフォルムの下は金でできている。
き、金・・・!!?
10kgはそう重くはないと思っていたが、使えそうにないのなら、返してもらってもいいぞ。
ボーン、10kgといっても、普通の子の筋力では重いのかもしれないわよ・・・。
(くっ・・・、ここでなめられちゃあ、男が廃る・・・!
ヴェロニカさんに男を見せてやるぜっ・・・!!)
ヴェ、ヴェロニカさん!
このキーボード、ぜ、全然重くないですよ!
こ、こんなの普段から重いギターを持ち歩いていたオレからすると、朝飯前です。
う、う~ん、この重さ気に入ったぜ!
ありがとよ!
じゃ、じゃあ、しばらくはこのキーボード使っておくかな・・・。
なにーっ!!!!?
ボーンがみやび屋のWeb集客のコンサルティングをしているだと・・・!?
は、はいっ・・・!!
まさかボーンのやつがかかわっていたとは、私も驚きました・・・。
・・・く・・・くくくく・・・。
遠藤様・・・!?
(・・・わ、笑ってらっしゃる・・・?)
井上よ・・・。
こんなに楽しいことはないぞ。
あの憎きボーンに復讐するチャンスが巡ってきたのだからな。
遠藤様・・・!
フフフ・・・。
ボーン・片桐よ。
今度はうまくいかんぞ・・・!
旅行業界はすでに私の新会社「バイソンマーケティング」社が制作したコンテンツでほぼ埋め尽くされているのだからな・・・!
バイソンマーケティングのコンテンツを見て、私の真の恐ろしさを肌で感じるがよい・・・!!
ふははははは!!!
はーっはっはっはっは!!!
それにしても、一夜明けて読み返してみても、文章が大きく変わったよな・・・。
あのオッサン、結局、ページの文章を丸ごと変えちまったもんな・・・。
あの一瞬でここまでリライトするって、どんな脳みそもってるんだろ・・・。
ム、ムツミ!!
・・・?
アネキ、どうしたんだ?
予約が・・・予約が・・・。
よ、予約がどうしたって言うんだ?
予約が5件も入ってるの!!
予約が5件・・・!!?
ムツミはそう言うと、慌ててノートPCを開き、みやび屋のサイトのGoogle Analyticsを確認し始めた。
ほ、ほんとだ・・・。
何が起きたんだ・・・!?
・・・!?
この流入元・・・。
昨日片桐のオッサンがリライトした記事経由じゃねーか・・・!
あのオッサン・・・ただ者じゃねー・・・!
グスッ・・・・、グスッ・・・。
あ、アネキ!!?
泣いてるのかよ・・・!?
だって・・・。
こんなにたくさんの人に予約していただけたのは久々なんだもの・・・。
アネキ・・・。
サツキちゃん、いるかい?
??
アネキ、誰か来たようだぜ。
?
あっ!
三桜館の旦那さん!
三桜館・・・?
あっ、うちの近所に昔からあるホテルさんよ。
以前から仲良くさせていただいているの。
おお、サツキちゃん。
いてくれてよかった。
三桜館の旦那さん、今日はどうされたんですか?
サツキちゃん・・・。
実はなあ・・・。
うちの旅館、閉じることにしたんだ。
えっ・・・!?
最近、このあたりはめっきり観光客が減ったじゃないか。
しかも、近くにあんなに立派なレジャーホテルができてしまっとあっちゃ、うちみたいな古いホテルは商売上がったりだよ。
そのレジャーホテルって、もしかして・・・。
タパホテル!?
ああ、まさにそのタパホテルさ・・・。
この須原の地は東京から離れていて、東京オリンピックの恩恵をあまり受けられない。
須原全体の観光客が減っているっていうのに、あんな立派なレジャーホテルができてしまっては、太刀打ちできないよ。
うち以外のホテルも危なそうだし、サツキちゃんところの旅館も大変かもしれないけれど、あんなホテルなんかに負けないでおくれよ。
旦那さん・・・。
くそーっ!!
あのヤン・タオとかいうやつ、この須原をどうするつもりだってんだ!?
本当にわけわかんねえ・・・!!
もしかすると、ヤン氏が須原に自社のホテルを立ち上げた理由は・・・。
理由・・・!?
どうやら、みやび屋の売り上げ改善のためには、おまえたちのサイトのチューニングだけでは足りないようだな。
須原の地を盛りあげる必要があるってことね。
そ、そんなのどうすりゃいいんだ!?
世に広く伝えればいい。
この須原の魅力を。
世に広く伝える・・・!?
作るぞ。
「オウンドメディア」を!
オウンドメディア!!?
ボーンのリライトによって、みやび屋の集客は改善したかに見えた。
しかし、須原の地では、老舗ホテルの倒産が起き始めていた・・・!
果たして、須原を救う手立てはあるのか?
ボーンが語る「オウンドメディア」とは一体・・・!?
そして、ヤン・タオ率いるタオ・パイ社は、須原で一体何をしようとしているのか・・・!?
次回、沈黙のWebライティング第4話。
「愛という名のオウンドメディア」
今夜も俺のタイピングが加速するッ・・・!!