表現あいまい 情報の範囲が不明確
昨年指定は61件、報告書を衆参両院議長に提出
政府は26日、特定秘密の昨年1年間の指定や管理の状況を記した報告書を閣議決定し、衆参両院議長に提出した。指定が妥当かどうか国会のチェックを受ける目的だが、昨年指定された61件にはあいまいな「等」の文字が多く、情報の範囲が不明確なものがあった。
例えば新規指定23件の防衛省の特定秘密では「防衛力整備のために行う国内外の諸情勢に関する見積もり等」。内閣官房では「外国政府等との情報協力業務の実施状況等」。
外務省の「外国政府等から国際情報統括官組織に提供のあった情報」では、過激派組織「イスラム国」(IS)による日本人殺害事件の情報が含まれるのか判然としない。衆院の情報監視審査会が昨年、外務省にこの点を質問したが、回答はなかった。
衆院の審査会は先月、特定秘密を記録した文書について名称一覧を提出するよう政府に求めたが、今回はなかった。特定秘密を所管する内閣情報調査室は取材に「指摘を重く受け止め、次回の報告に向けて検討したい」とコメントした。
報告は法施行後2回目。秘密を取り扱う予定の公務員らに借金や精神疾患歴、家族の国籍などを申告させる「適性評価」が初めて報告され、9万6200人に取り扱いが認められた。1人は不許可で38人が評価を拒んだ。
特定秘密は累計で443件となり、秘密を記録した文書数も8万2827増の27万2020となった。報告書は内閣官房ホームページの「特定秘密保護法関連」で読むことができる。【青島顕】